電験三種 R4年度上期 法規 問12 問題と解説

 問 題     

負荷設備の容量が800kW、需要率が70%、総合力率が90%である高圧受電需要家について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし、この需要家の負荷は低圧のみであるとし、変圧器の損失は無視するものとする。

(a) この需要負荷設備に対し100kV・Aの変圧器、複数台で電力を供給する。この場合、変圧器の必要最小限の台数として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 5
  2. 6
  3. 7
  4. 8
  5. 9

(b) この負荷の月負荷率を60%とするとき、負荷の月間総消費電力量の値[MW・h]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、1カ月の日数は30日とする。

  1. 218
  2. 242
  3. 265
  4. 270
  5. 284

 

 

 

 

 

正解 (a)-(3), (b)-(2)

 解 説    

(a)

設問(a)は何台の変圧器が必要かを問う問題です。1台あたりの変圧器が100[kV・A]なので、要するに、最大需要電力を計算して、それが300[kV・A]なら3台、350[kV・A]なら3台では足りないので4台…といった解答になります。

まず、問題文では需要率が与えられていますが、需要率は、「設備容量の合計値」に対する「最大需要電力」で表されます。これは重要事項として覚えておくべき公式です。

今回の場合、需要率は70[%]で、設備容量の合計値は800[kW]と与えられているので、次のように最大需要電力を計算することができます。

ただし、このままでは有効電力[kW]になっているので、総合力率=90[%]を用いて、ここから皮相電力[kV・A]を求めます。

そして、これを1台あたりの変圧器の能力100[kV・A]で割ることで、必要な台数が算出できます。

よって、理論上は6.22台の変圧器が必要であるとわかります。実際には台数は整数なので、6.22以上の最小の整数である7台分必要となります。

以上から、正解は(3)です。

(b)

負荷率は、「最大需要電力」に対する「平均需要電力」で表されます。本問では月負荷率となっているので、次のように表すことができます。

ここで、最大需要電力は設問(a)の(1)式ですでに求めているので、(4)式は以下のように計算を進めることができ、平均需要電力が算出できます。

問われているのは負荷の月間総消費電力量の値[MW・h]なので、(5)式で求めた平均需要電力を1カ月分(24h×30days)と考えると、次のように計算できます。

以上から、正解は(2)となります。

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