電験三種 R4年度上期 電力 問11 問題と解説

 問 題     

地中送電線路の故障点位置標定に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 故障点位置標定は、地中送電線路で地絡事故や断線事故が発生した際に、事故点の位置を標定して地中送電線路を迅速に復旧させるために必要となる。
  2. パルスレーダ法は、健全相のケーブルと故障点でのサージインピーダンスの違いを利用して、故障相のケーブルの一端からパルス電圧を入力してから故障点でパルス電圧が反射して戻ってくるまでの時間を計測し、ケーブル中のパルス電圧の伝搬速度を用いて故障点を標定する方法である。
  3. 静電容量測定法は、ケーブルの静電容量と長さが比例することを利用し、健全相と故障相のそれぞれのケーブルの静電容量の測定結果とケーブルのこう長から故障点を標定する方法である。
  4. マーレーループ法は、並行する健全相と故障相の2本のケーブルに対して電気抵抗計測に使われるブリッジ回路を構成し、ブリッジ回路の平衡条件とケーブルのこう長から故障点を標定する方法である。
  5. 測定原理から、地絡事故にはパルスレーダ法とマーレーループ法が適用でき、断線事故には静電容量測定法とマーレーループ法が適用できる。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

地中送電線は架空送電線と違って目に見えない(地中に埋まっている)ので、事故が発生したときに故障点を見極めるのが架空送電線に比べて難しいです。この故障点を見つけることを「故障点位置標定」というので、(1)は正しい記述です。

故障点位置標定の方法のうち、試験で出題されやすいのは以下の3つです。

  • マーレーループ法 …選択肢(4)
  • 静電容量法    …選択肢(3)
  • パルスレーダ法  …選択肢(2)

選択肢(2)~(4)に書かれていることは各評定法の基本的な説明文となり、いずれも正しい記述です。

また、(5)では上記の各評定法がどのような事故(地絡事故or断線事故)の際に適用できるかが問われています。

マーレーループ法はブリッジ回路の仕組みを利用したもので、マーレーループ装置と健全相と地絡相を接続することで回路を成すので、地絡事故のときに適用できます。

静電容量法はケーブルの静電容量と長さが比例することを利用して故障点を標定する方法なので、ケーブルの長さが変わる=断線したときに使うことができます。

パルスレーダ法は、故障相のケーブルの一端からパルス電圧を入力して、反射して戻ってくるまでの時間を計測する方法なので、地絡事故でも断線事故でも適用可能です。

  • マーレーループ法:地絡事故に適用可
  • 静電容量法   :断線事故に適用可
  • パルスレーダ法 :地絡事故・断線事故ともに適用可

よって、(5)の前半の「地絡事故にはパルスレーダ法とマーレーループ法が適用でき」は正しいですが、後半の「断線事故には静電容量測定法とマーレーループ法が適用できる」が誤りなので、正解は(5)となります。

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