問 題
沸騰水型原子炉(BWR)に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 燃料には低濃縮ウランを、冷却材及び減速材には軽水を使用する。
- 加圧水型原子炉(PWR)に比べて原子炉圧力が低く、蒸気発生器が無いので構成が簡単である。
- 出力調整は、制御棒の抜き差しと再循環ポンプの流量調節により行う。
- 制御棒は、炉心上部から燃料集合体内を上下することができる構造となっている。
- タービン系統に放射性物質が持ち込まれるため、タービン等に遮へい対策が必要である。
解 説
先に正解を示すと、本問の答えは(4)です。しかし、どちらかといえば(1)、(2)、(3)、(5)の内容のほうが重要であるため、消去法で正解することができれば十分だと思います。
(1)について、沸騰水型原子炉(BWR)・加圧水型原子炉(PWR)ともに、燃料には低濃縮ウランを、冷却材と減速材には軽水を使用しています。
(2)に関して、沸騰水型(BWR)は、核分裂により熱エネルギーを得て水を蒸気に変え、蒸気の熱と圧力でタービンを回して発電します。タービンは仕事をしたあとの蒸気は復水器で水となり、再び原子炉へと戻ります。これを「直接サイクル」といい、蒸気発生器がない簡単な構成となっています。
一方、加圧水型(PWR)は循環系が2つあり、原子炉系(一次系統)とタービン系(二次系統)とに分かれています。その構造は下図の通りです。
上図の左半分が原子炉系(一次系統)で、この原子炉で熱を発生させ、図中央の蒸気発生器で熱交換をおこない、再び原子炉へと水が戻ります。途中で加圧器により加圧して循環させることが「加圧水型」の名前の由来となっています。
上図の右半分はタービン系(二次系統)で、まず蒸気発生器で水が熱を受け取って蒸気に変わります。そして蒸気がタービンで仕事をして、その後復水器で水となって循環します。
このような循環のタイプを「間接サイクル」と呼びます。
(3)は記述の通りで、出力調整は制御棒の抜き差しと再循環ポンプの流量調節により行っています。
(4)で、(2)の解説に載せた図の通り、沸騰水型原子炉(BWR)では制御棒は炉心下部から挿入されます。一方、加圧水型原子炉(PWR)の場合は制御棒は炉心上部から挿入されます。よって、(4)の記述が誤りであると判断できます。
(5)について、(2)で解説した通り、沸騰水型原子炉(BWR)は直接サイクルで、加圧水型原子炉(PWR)は間接サイクルです。
間接サイクルであれば、一次系統に含まれる放射性物質を二次系統に持ち込まない構造になっているので、タービン系統に放射性物質が持ち込まれるおそれがないため、タービンなどに遮へい対策は必要ありません。
しかし、今は直接サイクルである沸騰水型(BWR)の話をしているので、タービン系統にも放射性物質が持ち込まれるため、タービンなどに遮へい対策が必要となります。
以上から、(4)の記述が誤りであるため、正解は(4)です。
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