電験三種 R3年 理論 問6 問題と解説

 問 題     

直流の出力電流又は出力電圧が常に一定の値になるように制御された電源を直流安定化電源と呼ぶ。

直流安定化電源の出力電流や出力電圧にはそれぞれ上限値があり、一定電流(定電流モード)又は一定電圧(定電圧モード)で制御されている際に負荷の変化によってどちらかの上限値を超えると、定電流モードと定電圧モードとの間で切り替わる。

図のように、直流安定化電源(上限値:100A、20V)、三つの抵抗(R1=R2=0.1Ω、R3=0.8Ω)、二つのスイッチ(SW1、SW2)で構成されている回路がある。

両スイッチを閉じ、回路を流れる電流I=100Aの定電流モードを維持している状態において、時刻t=t1[s]でSW1を開き、時刻t=t2[s]でSW2を開くとき、I[A]の波形として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

まず、t=0[s]の状態では両スイッチが閉じているため、R2やR3には電流が流れません。下図の赤色のように、抵抗のないスイッチ側を通って回路を1周します。

上図において、問題文より電流は100[A]で、電流が通る抵抗はR1=0.1[Ω]だけなので、電圧は10[V]となります。電圧の上限値は20[V]とされているので、この時点では電圧は上限値以下におさまっています。

続いて、t=t1[s]でSW1を開くと、下図のように電流がR1とR2を流れるルートに変わります。

このとき電流を100[A]とすると、合成抵抗はR=R1+R2=0.2[Ω]なので、電圧は20[V]となります。この時点でも電圧の上限値20[V]にぎりぎりおさまっているので、定電流モードのまま、電流は100[A]流れることがわかります。

最後に、t=t2[s]でSW2を開くと、下図のように電流がR1とR2とR3を流れるルートに変わります。

上図で仮に電流を100[A]とすると、合成抵抗はR=R1+R2+R3=1[Ω]なので、電圧は100[V]となります。これでは電圧の上限値20[V]を超えてしまうので、この時点で定電圧モードに切り替わります。

定電圧モードでは、電圧が20[V]で一定となるため、合成抵抗1[Ω]と合わせて考えると、この回路を流れる電流は20[A]であることがわかります。

以上から、電流の大きさはt=0[s]のときに100[A]、t=t1[s]のときも100[A]、t=t2[s]以降は20[A]となるので、正解は(2)です。

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