問 題
定格出力45kW、定格周波数60Hz、極数4、定格運転時の滑りが0.02である三相誘導電動機について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) この誘導電動機の定格運転時の二次入力(同期ワット)の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 43
- 44
- 45
- 46
- 47
(b) この誘導電動機を、電源周波数50Hzにおいて、60Hz運転時の定格出力トルクと同じ出力トルクで連続して運転する。この50Hzでの運転において、滑りが50Hzを基準として0.05であるときの誘導電動機の出力の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 36
- 38
- 45
- 54
- 56
解 説
(a)
(a)では二次入力P2が問われていますが、二次入力P2から二次銅損Pc2を引いた値が機械出力Pmなので、Pc2とPmがわかれば、P2を求めることができます。
誘導電動機が滑りsで運転しているとき、二次銅損Pc2の値は、二次入力P2のs倍となります。また、上記のくり返しになりますが、二次入力から二次銅損を引いた値が機械出力Pmです。よって、下図のような関係が成り立ちます。
以上から、二次入力P2は次のように計算することができます。
よって、正解は(4)です。
(b)
(b)で問われているのは50Hzのときの機械出力Pm(50)です。滑りs(50)がすでに与えられているため、二次入力P2(50)がわかれば(a)の設問と同じように下式によって機械出力Pm(50)を求めることができます。
よって、二次入力P2(50)を求めるのが当面の目標になります。
ここで、問題文より50Hzでのトルクと60Hzでのトルクの値が同じということなので、トルクの式がこの問題を解く鍵となります。誘導電動機のトルクTの式を以下に示します。これは重要公式として押さえておくべき式です。
- T:誘導電動機のトルク [N・m]
- P2:二次入力 [W]
- Ns:同期速度 [min-1]
もしこの式をそのまま暗記することが難しければ、以下の式変換を参考にしてください(上式を覚えられるなら、次の式は特に気にする必要はありません)。
また、(2)式の同期速度Nsは、以下に示す(3)式から求めることができます。これも重要公式の一つとして覚えておいてください。
- Ns:同期速度 [min-1]
- p:磁極の数 [極]
- f:周波数 [Hz]
(3)式を(2)式に代入すると、(4)式のようになります。
ここで先ほどの話に戻ると、50Hzでのトルクと60Hzでのトルクの値が同じなので、(4)式の右辺に50Hzでの各数値と60Hzでの各数値を代入した場合、それらはイコールで結ぶことができます。
よって、(5)式をP2(50)について解けば、50Hzのときの二次入力P2(50)を計算することができます。P2(50)には設問(a)の計算結果を使います。
また、(6)式の結果を(1)式に代入することで、機械出力Pm(50)を求めることができます。ちなみに、滑りs(50)は問題文より0.05となります。
以上から、正解は(1)です。
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