電験三種 R2年 機械 問15 問題と解説

 問 題     

定格出力45kW、定格周波数60Hz、極数4、定格運転時の滑りが0.02である三相誘導電動機について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) この誘導電動機の定格運転時の二次入力(同期ワット)の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 43
  2. 44
  3. 45
  4. 46
  5. 47

(b) この誘導電動機を、電源周波数50Hzにおいて、60Hz運転時の定格出力トルクと同じ出力トルクで連続して運転する。この50Hzでの運転において、滑りが50Hzを基準として0.05であるときの誘導電動機の出力の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 36
  2. 38
  3. 45
  4. 54
  5. 56

 

 

 

 

 

正解 (a)-(4), (b)-(1)

 解 説    

(a)

(a)では二次入力P2が問われていますが、二次入力P2から二次銅損Pc2を引いた値が機械出力Pmなので、Pc2とPmがわかれば、P2を求めることができます。

誘導電動機が滑りsで運転しているとき、二次銅損Pc2の値は、二次入力P2のs倍となります。また、上記のくり返しになりますが、二次入力から二次銅損を引いた値が機械出力Pmです。よって、下図のような関係が成り立ちます。

以上から、二次入力P2は次のように計算することができます。

よって、正解は(4)です。

(b)

(b)で問われているのは50Hzのときの機械出力Pm(50)です。滑りs(50)がすでに与えられているため、二次入力P2(50)がわかれば(a)の設問と同じように下式によって機械出力Pm(50)を求めることができます。

よって、二次入力P2(50)を求めるのが当面の目標になります。

ここで、問題文より50Hzでのトルクと60Hzでのトルクの値が同じということなので、トルクの式がこの問題を解く鍵となります。誘導電動機のトルクTの式を以下に示します。これは重要公式として押さえておくべき式です。

  • T:誘導電動機のトルク [N・m]
  • P2:二次入力 [W]
  • Ns:同期速度 [min-1]

もしこの式をそのまま暗記することが難しければ、以下の式変換を参考にしてください(上式を覚えられるなら、次の式は特に気にする必要はありません)。

また、(2)式の同期速度Nsは、以下に示す(3)式から求めることができます。これも重要公式の一つとして覚えておいてください。

  • Ns:同期速度 [min-1]
  • p:磁極の数 [極]
  • f:周波数 [Hz]

(3)式を(2)式に代入すると、(4)式のようになります。

ここで先ほどの話に戻ると、50Hzでのトルクと60Hzでのトルクの値が同じなので、(4)式の右辺に50Hzでの各数値と60Hzでの各数値を代入した場合、それらはイコールで結ぶことができます。

よって、(5)式をP2(50)について解けば、50Hzのときの二次入力P2(50)を計算することができます。P2(50)には設問(a)の計算結果を使います。

また、(6)式の結果を(1)式に代入することで、機械出力Pm(50)を求めることができます。ちなみに、滑りs(50)は問題文より0.05となります。

以上から、正解は(1)です。

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