電験三種 R2年 法規 問3 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく使用電圧が6600Vの交流電路の絶縁性能に関する記述である。

a) 電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。

電路と大地との間の絶縁性能は、事故時に想定される異常電圧を考慮し、( ア )による危険のおそれがないものでなければならない。

b) 電路は、絶縁できないことがやむを得ない部分及び機械器具等の電路を除き、次の①及び②のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。

① ( イ )Vの交流試験電圧を電路と大地(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)との間に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

② 電線にケーブルを使用する電路においては、( イ )の交流試験電圧の( ウ )倍の直流電圧を電路と大地(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)との間に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  ア      イ   ウ
  1. 絶縁破壊   9900    1.5
  2. 漏えい電流  10350  1.5
  3. 漏えい電流  8250    2
  4. 漏えい電流  9900    1.25
  5. 絶縁破壊   10350  2

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

( ア )には「絶縁破壊」か「漏えい電流」が入ります。

絶縁破壊とは、混触や雷、機器の故障などによって異常な高電圧が生じたために絶縁体が絶縁性を失い、電流が流れる状態になってしまう現象のことです。絶縁破壊した状態では電流が普通に流れるので、とても危険な状態であるといえます。

漏えい電流は、絶縁性が完璧ではないところから漏れ出てしまう微弱な電流のことです。微弱とはいえ人体に触れれば感電するため、漏えい電流を極力小さく抑えることが重要です。

以上から、今回は( ア )の直前に「絶縁性能は、事故時に想定される異常電圧を考慮し~」とあるので、絶縁破壊を防ぐ話であることがわかります。よって、( ア )には「絶縁破壊」が入ります。

( イ )は、絶縁耐力試験の試験電圧に関する計算問題です。

絶縁耐力試験によって絶縁耐力の有無を確認しますが、その際、試験電圧を連続して10分間加えることが普通です。試験電圧というのは多くの場合、最大使用電圧よりも高い電圧なのですが、どのくらい強いかは電路の種類や最大使用電圧によって変わってきます。

ここで最大使用電圧について確認しておきます。最大使用電圧は、公称電圧(通常の使用電圧)が1000V以下だと公称電圧の1.15倍となります。公称電圧が1000V超では公称電圧に1.15を掛けて1.1を割った値となります。

今回の場合は問題文より通常の使用電圧が6600Vなので、最大使用電圧は、6600×1.15÷1.1=6900Vです。

これで最大使用電圧がわかったので、続いて試験電圧について考えます。

高圧及び特別高圧の電路での耐圧試験は、電路の種類によって、以下のような試験電圧によって行います。上記の通り、試験電圧を連続して10分間加えて問題がなければ、その電路を使用することができます。

今回の場合は、最大使用電圧は6900Vで7000V以下なので上表の一番上のパターンとなり、試験電圧は6900×1.5=10350Vと計算できます。

以上から、( イ )には「10350」が入ることがわかります。

最後の( ウ )はややマイナーな知識ですが、( ア )と( イ )がきちんと答えられればすでに選択肢は(5)だけしか残っていないので、ここはあまり気にしなくてもよいかもしれません。

上表で示したのは「高圧及び特別高圧の電路」での耐圧試験の試験電圧ですが、電線にケーブルを使用する交流の電路の場合には、上表の試験電圧を2倍した直流電圧を掛けて試験します。

よって、( ウ )には「2」が入ります。

以上から、正解は(5)です。

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