問 題
4極の三相誘導電動機が60Hzの電源に接続され、出力5.75kW、回転速度1656min-1で運転されている。このとき、一次銅損、二次銅損及び鉄損の三つの損失の値が等しかった。このときの誘導電動機の効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、その他の損失は無視できるものとする。
- 76.0
- 77.8
- 79.3
- 80.6
- 88.5
解 説
誘導電動機の効率を求める問題なので、入力に対する出力の比を答えればよいことになります。とはいえ、今回は入力に関する条件が一切書かれていません。しかし、出力と各種の損失を合わせたものが入力と同等となるため、以下のような式が成り立ちます。
上式のうち、出力はすでに問題文で5.75[kW]と与えられています。また、損失は一次銅損、二次銅損、鉄損の3種類がありますが、問題文よりこれらは全て同じ値になるので、どれか一つを求めれば3倍するだけで損失の合計が求められます。
ここで、誘導機の二次銅損に関する重要な式があります。次に示す、誘導機の「二次入力:二次銅損:出力」の関係式を使う機会は多いので、ぜひ押さえておいてください。
- Pm:機械出力 [W]
- P2:二次入力 [W]
- Pc2:二次銅損 [W]
- s:滑り
これを図にまとめると、次のようになります。
上式のうち、出力Pmは既知の値なので、滑りsの値さえわかれば二次入力P2の値がわかり、さらにそこから二次銅損Pc2が計算できます。よって、次にやることは滑りsの値を考えることです。
誘導機の滑りsは以下に示す計算式で定義されます。これも重要公式として、必ず押さえておきたい式のひとつです。
- s:滑り
- Ns:同期速度(回転磁界の速度) [min-1]
- N:回転速度(回転子の速度) [min-1]
上式を解くためには同期速度Nsと回転速度Nの値が必要です。回転速度Nは問題文で1656min-1とあり、同期速度Nsについては次の式から計算することができます。
- Ns:同期速度 [min-1]
- p:磁極の数 [極]
- f:周波数 [Hz]
これで正解を求めるために必要な式が揃ったので、あとは問題文で与えられた式を代入して、どんどん計算していきます。
まず、同期速度Nsについては次のようになります。
続いて、滑りsを算出します。
次に求めるのは、二次入力P2です。
よって、二次銅損Pc2は次のように計算できます。
以上から二次銅損Pc2=0.50[kW]とわかったので、一次銅損も鉄損も0.50[kW]となり、以下の式のように効率ηを求めることができます。
よって、正解は(3)となります。
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