問 題
「電気設備技術基準」の総則における記述の一部として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 電気設備は、感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない。
- 電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は落雷による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の便宜上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。
- 電路に施設する電気機械器具は、通常の使用状態においてその電気機械器具に発生する熱に耐えるものでなければならない。
- 電気設備は、他の電気設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないように施設しなければならない。
- 高圧又は特別高圧の電気設備は、その損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないように施設しなければならない。
正解 (2)
解 説
(2)には2つ誤りの箇所があります。「落雷」ではなく「混触」という点と、「便宜上」ではなく「保安上」という点です。
「電気設備技術基準」で定められた文章をそのまま覚えている人は少ないと思いますが、これは知識問題というわけではなく、考えることで判断することが可能な問題です。
まず「落雷」を含む箇所について、電路に落雷すると高電圧が生じるので、ここは何となく意味が通ってしまいそうです。そのため、ここで誤りに気づけなくても仕方ないかもしれません。
ただし、本来の文章では「落雷」ではなく「混触」が入ります。電線同士の接触のことを「混触」といい、混触によって高圧電路から低圧電路に電気が流れ、結果として低圧電路なのに高電圧を生じるということが起こります。
この混触によって感電や火災が起こりやすくなるので、これを避ける措置が必要となってきます。
次は「便宜上」について考えたいと思いますが、こちらは明確な誤りといえます。
電気の取り扱いは危険を伴うことが多いため、何よりも安全第一を心がけることが求められます。ここで、「便宜上」という言葉は「便利だから」とか「都合が良いから」といった意味になりますが、大事なのは都合の良し悪しではなく、安全性が優先されているかどうかです。
よって、電路を大地から絶縁しない場合には、安全面で心配がいらないような措置を取ってください…というのが趣旨になるので、ここには「保安上」という言葉が入ります。
以上のことと、そのほかの選択肢には明確な誤りや矛盾点が見られないことから、(2)が正解であると判断できます。
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