電験三種 R1年 電力 問7 問題と解説

 問 題     

次の文章は、変電所の主な役割と用途上の分類に関する記述である。

変電所は、主に送電効率向上のための昇圧や需要家が必要とする電圧への降圧を行うが、進相コンデンサや( ア )などの調相設備や、変圧器のタップ切り換えなどを用い、需要地における負荷の変化に対応するための( イ )調整の役割も担っている。

また、送変電設備の局所的な過負荷運転を避けるためなどの目的で、開閉装置により系統切り換えを行って( ウ )を調整する。

さらに、送電線において、短絡又は地絡事故が生じた場合、事故回線を切り離すことで事故の波及を防ぐ系統保護の役割も担っている。

変電所は、用途の面から、送電用変電所、配電用変電所などに分類されるが、東日本と西日本の間の連系に用いられる( エ )や北海道と本州の間の連系に用いられる( オ )も変電所の一種として分類されることがある。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •    (ア)      (イ)   (ウ)     (エ)       (オ)
  1. 分路リアクトル   電圧   電力潮流  周波数変換所  電気鉄道用変電所
  2. 負荷開閉器     周波数  無効電力  自家用変電所  中間開閉所
  3. 分路リアクトル   電圧   電力潮流  周波数変換所  交直変換所
  4. 負荷時電圧調整器  周波数  無効電力  自家用変電所  電気鉄道用変電所
  5. 負荷時電圧調整器  周波数  有効電力  中間開閉所   交直変換所

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

調相設備には4つの種類があり、どれも電圧調整と電圧損失を軽減するための設備です。もう少し具体的にいうと、調相設備というのは受電端において負荷変動が起こった際に、うまく進みor遅れ無効電力を与えて送電端と受電端の電圧を一定値に保つ役割をします。

4つの種類というのは、以下の通りです。

  1. 同期調相機
  2. 電力用コンデンサ
  3. 分路リアクトル
  4. 静止型無効電力補償装置

問題文には調相設備として進相コンデンサと( ア )が挙げられていますが、進相コンデンサは上記2.電力用コンデンサの一種です。また、( ア )は上記と選択肢を見比べると、「分路リアクトル」を入れるのが適切であると判断できます。

また、( イ )については解説の冒頭で示した通りなので、「電圧」が入ります。

( ウ )は開閉装置の役割を説明する文章です。開閉装置には遮断器や断路器などがあります。

遮断器は送電線などに何かしらのトラブルが生じた際、その事故点の周囲の電流を遮断することで、正常な部分に悪影響を及ぼすのを防ぐ役割を果たします。

断路器は、遮断器の端(片方だったり両端だったりします)に設置されていて、作業時などの回路に電流の流れていない状態の回路の開閉に用いられる装置です。

ある点を周囲の回路から切り離すというのは遮断器も断路器も一緒ですが、用途が違います。遮断器はトラブル時に事故点を周囲の回路から切り離すために使われます。一方、断路器は保守点検をおこなう際に機器を周囲の回路から確実に切り離すために使われます。

いずれにせよ、開閉装置は有効電力や無効電力の大きさを上げ下げするのではなく、電力の流れを制御する働きを持つため、( ウ )には「電力潮流」を入れるのが適切です。

( エ )に関して、東日本と西日本では交流電源の周波数が異なっています。東日本が50Hzで、西日本が60Hzなので、これらを連系するためには「周波数変換所」を設ける必要があります。

( オ )に関して、電力は多くの需要家で交流として使われますが、長距離を送電する際には交流だと電力のロスが大きくなるので、北海道と本州を結ぶ場合には、送電前に交流を直流に変えて送電し、送電先で再び交流に変換するという方式を取ります。

よって、交流を直流にしたり、直流を交流にしたりする「交直変換所」が必要となるので、( オ )にはこれが入ります。

以上から、正解は(3)となります。

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