正弦波交流の波形と平均値・実効値

交流回路は電流や電圧の値が周期的に変化します。それを図示すると以下のようなイメージとなり、その波形は正弦波(サインカーブ)を描きます。このように正弦波を描く交流回路の波形を、正弦波交流と呼んでいます。

交流回路では電圧も電流も正弦波交流で表すことができ、位相のずれなどがなければ、どちらも全く同じ軌跡を描きます(位相がずれる場合については次項で解説します)。

上図において、横軸は時間t[s]となっています。また、縦軸は電圧v[V]または電流i[A]です。電圧や電流が小文字で表記されているのは瞬時値を表しています。つまり、ある時間tにおける、その瞬間の電圧値や電流値のことです。一方、V[V]やI[A]のように大文字で表記されているのは多くの場合、実効値を表しています。

また、交流では電圧や電流が変化する都合上、瞬時値と実効値以外に、最大値や平均値という言葉が使われることもあるので、これらについてはしっかりと区別しておいてください。以下、電圧を例にこれら4つの値を説明しますが、電流についても同様の解釈が可能です。

まず、瞬時値は上記の通り、ある瞬間における電圧のことで、v[V]などと表すことが多いです。

続いて、最大値は、上図の正弦波の最も高いところ(頂点)です。Vmax[V]やVm[V]のように表します。

次に、平均値は、上図の正弦波の半周期分の軌跡を平らにした場合の値です。Vave[V]とかVa[V]とか表記されます(ちなみに、正弦波交流の1周期分の軌跡を平らにすると+と-が打ち消し合って0になってしまうので、1周期分ではなく半周期分で考えます)。

最後に、実効値は、この交流のする仕事を直流に換算したらいくつになるかを表す値で、V[V]と表します。

この4つの値は、以下のような式でつなげることもできます。ただし、瞬時値の表し方については実際には位相が関係してくる場合が多いので、ここでは参考にとどめ、次項にて詳細に解説をします。

(↑これらは最も単純な式の形。位相差が生じる場合については次項を参照)

家庭用のコンセントの電圧は100[V]とされていますが、これは実効値Vの値となっています。つまり、この場合、最大値Vmaxは141[V]であり、平均値Vaveは89.8[V]と計算することができます(89.8は、上記の平均値と最大値をつなぐ式より、Vave=2×141÷3.14と計算しています)。

また、平均値に対する実効値の比を波形率といい、実効値に対する最大値の比を波高率といいます。たまに計算問題などで出題されるので、以下の式を押さえておいてください(とはいえ、上記で紹介した式の組み合わせなので、以下を知らなくても、その都度計算すれば解ける場合も多いです)。

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