レーザダイオード

前項では最も基本的(かつ重要)なpn接合ダイオードについて解説しましたが、この項では少し特殊なタイプのダイオードであるレーザダイオード(LD)を紹介します。

レーザダイオード(Laser Diode、LD)とは、その名の通り、ダイオードのメカニズムを使ったレーザのことです。ちなみに、レーザとは、単一波長で同位相の光がたくさん集まってできる、強力な電磁波のことです。レーザダイオードの構造は以下の図のようになっています。

これもダイオードの一種なので、基本的にはpn接合ダイオードと似たような構造をしています。ただし、pn接合ダイオードがp形層とn形層の2層構造であるのに対し、こちらはその間に活性層がある3層構造となっています。

活性層は、自由電子と正孔との両方が豊富に存在するような領域となっています。また、前後の面は、半導体結晶によって自然な反射鏡の役割を果たします。

レーザダイオードに順電流(+側から-側に流れる電流)を流すと、活性層の自由電子が正孔と再結合して消滅しますが、このときに光を放出します。この光が前後2つの反射鏡の間に閉じ込められることによって誘導放出が起きて、同じ波長の光が多量に生じ、外部にその一部がレーザ光として出力される…というのが、レーザダイオードの原理です。

誘導放出とは、上記のようにレーザダイオード内でエネルギーが増幅され、ある位相の光(電磁波)だけが強力に放たれるような現象を指す言葉です。特別な波長の光(電磁波)だけが共振状態となって誘導放出が誘起されるので、強い同位相のコヒーレントな光が得られます。

ちなみに、コヒーレントとは、電磁波の位相や振幅が揃っていて干渉しやすい(強め合うor弱め合う)性質のことをいいます。

前項で扱ったLEDの発光も、比較的波長の幅が小さいために指向性が強いほうだといえますが、レーザダイオードに関しては、活性層と反射鏡の働きによって、もっと極端に波長の幅が狭くなります(ほぼ単一の波長)。よって、指向性がものすごく強いため、その発光は強力なエネルギーを持った電磁波(レーザ光)になります。

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