フレミングの左手の法則、右手の法則

電気、磁気、そして物理的な力の3つのパラメータは、密接に関係しています。もしこのうちの2つが存在するなら、必然的にもう1つも存在しているはずです。この3つのパラメータを扱う際、フレミングの左手の法則フレミングの右手の法則という2つの重要な法則を用いると問題が解きやすくなるため、このページではこれらについて整理します。

フレミングの左手の法則

磁界中に導体があり、そこに電流が流れているとき、導体は磁界から電磁力という力を受けます(次項で詳しく解説します)。たとえば、磁界中に固定されていない導体を置き、そこに電流を流すと、導線が電磁力を受けてころころと転がるイメージです。

これら3つのパラメータである電流I・磁界B・電磁力Fの向きは、フレミングの左手の法則に従います。フレミングの左手の法則とは、左手の親指と人差し指と中指を互いに直交させたとき、指の向きと電流I、磁界B、電磁力Fとが以下のように対応するという法則です。

  • 中指:電流Iの向き
  • 人差し指:磁界Bの向き
  • 親指:電磁力Fの向き

ちなみに、似たようなものとして、磁界中を電子が移動するとローレンツ力が発生するという現象があります。電子とは一粒の負電荷のようなもので、これが束になって移動すると電流という呼び方になります(ただし、電子の流れと電流とでは向きが正反対です。電子が束になって流れると、逆向きに電流が流れます)。

ローレンツ力も電磁力の一種なので、上記のフレミングの左手の法則を適用できますが、電子の移動方向は電流の移動方向とは全く反対なので、その点に注意しながらこの法則を使う必要があります。この話については、磁界中における電子の運動のページでより詳しく解説しています。

フレミングの右手の法則

磁界中にコイル状の導体を置き、その導体を磁界の垂直方向に動かすと、誘導起電力と呼ばれる電圧を生じます。さらに、この誘導起電力の発生に伴って電流が流れます(誘導起電力と誘起された電流は同じ方向)。これは電磁誘導という現象で、電磁誘導と誘導起電力、レンツの法則のページにて詳しく解説しますが、直流発電機はこの原理を利用して電気を作っています。

この場合の3つのパラメータである導体の速度v・磁界B・誘導起電力Eの向きは、フレミングの右手の法則に従います。フレミングの右手の法則とは、右手の親指と人差し指と中指を互いに直交させたとき、指の向きと導体の速度v、磁界B、誘導起電力Eとが以下のように対応するという法則です。

  • 中指:誘導起電力Eの向き(それに伴い生じる電流の向き)
  • 人差し指:磁界Bの向き
  • 親指:導体の速度vの向き(導体を動かす向き)

以上のように、フレミングの左手の法則とフレミングの右手の法則とでは使いどころが異なりますが、どちらの場合も、

  • 中指:電気
  • 人差し指:磁気
  • 親指:物理的な力

という点は一緒なので、このことを押さえておくと知識を定着させやすいかもしれません。

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