同期機の計算問題では、百分率同期インピーダンスと短絡比を用いる問題が多く出題されます。
百分率同期インピーダンスについては、前項でも解説した通り、以下の式で表されます。
- %Z:百分率同期インピーダンス [%]
- In:定格電流 [A]
- Is:短絡電流 [A]
一方、短絡比Ksは、定格電流に対する短絡電流の比で求めることができます(本来、短絡比の定義は別にありますが、式変換の結果こうなりますし、計算問題では以下の式を使います)。
- Ks:短絡比
- Is:短絡電流 [A]
- In:定格電流 [A]
以上からわかる通り、百分率同期インピーダンスと短絡比とは逆数の関係となります。よって、短絡比が大きい場合と小さい場合では何が違うのかを考える際には、百分率同期インピーダンスが小さい場合と大きい場合での違いについて考えればよいということにもなります。
結論として、短絡比が小さい(百分率同期インピーダンスが大きい)場合には、同期機は次の4つの特徴を持ちます。
短絡比が小さいと…
- 発電機の外形寸法が小さくなる。
- 銅機械と呼ばれる。
- 電圧変動率が大きくなる。
- 発電機の安定度が悪くなる。
1つ目について、短絡比が小さいということは同期インピーダンスが大きいということなので、電機子巻線の巻数は多いです。巻線が多いと鉄心が小さくて済むため、このような場合には、発電機自体の大きさは小さくすることができます。
2つ目について、1つ目と関連しますが、巻線は銅製であるため、巻線が多いタイプ(=短絡比が小さい)の同期機は銅機械と呼ばれています。一方、鉄心は鉄製であるため、鉄心が大きいタイプ(=短絡比が大きい)の同期機は鉄機械と呼ばれます。
3つ目について、電圧変動率の説明は同期機の同期速度、出力、トルクのページでしていますが、短絡比が小さいと同期インピーダンスが大きくなるので、その分端子電圧は小さくなり、結果として電圧変動率は大きくなります。
4つ目について、同期機の安定度とは、電力に多少のむらが生じたときでも、同期速度を保ち続けられるかどうかの指標です。上記の通り、電圧変動率が大きくなると、それだけ同期速度を保つのが難しくなるため、安定度は下がります。
なお、短絡比が大きい(百分率同期インピーダンスが小さい)場合には、上記で解説したことの反対の特徴を持ちます。
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