始動時の過電流対策
直流電動機は定格運転を続けているときには安定した電流が流れています。しかし、電動機が止まっている状態から始動するときは、まだ逆起電力が生じていないために、電機子電流が大きくなってしまいます。
定格電流を大きく上回る電流が流れてしまうと故障や事故につながる恐れがあるため、事前に電機子と直列に抵抗を接続することで、始動時の電流があまり大きくなり過ぎないようにします。
速度制御の方法
直流電動機の回転速度を変えたいのであれば、以下の変数のいずれかを変えれば良いです。
- 電圧制御法:端子電圧V [V]
- 抵抗制御法:電機子巻線の抵抗Ra [Ω]
- 界磁制御法:磁束Φ [Wb]
といっても、これを無理に覚えずとも、直流電動機の逆起電力、回転速度、トルクのページで紹介した公式を覚えていれば、式変換することですぐにわかります。つまり、逆起電力の公式である以下の式
- E:逆起電力 [V]
- p:磁極数
- Z:電機子総導体数
- a:巻線の並列回路数
- Φ:1極あたりの磁束 [Wb]
- n:電機子の回転速度 [min-1]
をnについて解くと、
となりますが、ここで、逆起電力Eは他励式電動機や分巻電動機なら
- V:電源電圧 [V]
- Ia:電機子電流 [A]
- Ra:電機子巻線の抵抗 [Ω]
と表すことができるので(この式については直流電動機の種類のページで解説しています)、これを先ほどの式に代入すれば、
のようになり、aやpやZが定数であることから、VやRa、Φを変えることでnも変化することがわかります。
ちなみに、上記で他励式電動機や分巻電動機だとE=V-IaRaであると紹介しましたが、これが直巻電動機や複巻電動機ではもう少し式が複雑になるだけで、VやRaによってEが変わるということには変わりありません。
回転方向の逆転
直流電動機は電機子または界磁の向きを反対にすることで、その回転方向を逆転させることができます。電機子を反対にしても界磁を反対にしても構いませんが、一般的には、応答が速い電機子電流の向きを変える方法が用いられています。
なお、電機子と界磁の両方の向きを反対にしてしまうと、逆の逆で元通りの方向になってしまいます。
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