熱の伝わり方には、伝導、対流、放射という、3つのパターンがあります。この項では、それぞれの特徴や違いについて説明します。
伝導
まず伝導についてですが、これは固体の中での熱の移動と考えるとわかりやすいかもしれません。
たとえば、温かい缶コーヒーを手で触れていると、熱が温度の高いほう(缶)から温度の低いほう(手)へと移り、缶は冷めていきますし、手は温まっていきます。この場合、理屈上は、最終的に缶と手とは同じ温度になります。
対流
対流は流体(液体や気体)の流れを伴う熱の移動です。このような文章にするとやや分かりづらい場合、お風呂の「おいだき」を連想すると良いかもしれません。
冷めたお風呂で「おいだき」すると、まず熱源の近くにある水が温まります(これは上記の伝導によって温まります)。すると、お風呂の中の湯に温度差ができます(熱源の近くの湯は熱く、熱源から遠い湯はぬるいです)。温度差(温度勾配)があると、湯の密度や働く浮力の大きさが違ってくるので、これを推進力として湯が動きます。
こうして流体が循環することで熱が移動することを、対流といいます。
例としてお風呂のおいだきを挙げましたが、エアコンによる空気の対流も、同じ仕組みです。伝導では物質(固体)自身の移動はありませんが、対流では物質(液体や気体)自身が熱とともに移動します。
放射
放射は電磁波による熱の移動です。放射の具体例としてよく挙げられるのが、太陽光や電子レンジです。
太陽の光を受けると暑く(温かく)感じるのは、決して上記のような対流のせいではありません。対流のように直接的に熱を受けるのではなく、太陽から放出される電磁波(エネルギー)を受けて、体内の水分などが振動することで温まるので、太陽光が温かく感じるというわけです。
電子レンジも同様、電磁波(電子レンジの場合、マイクロ波)を放射して食品中の水分子を振動させることで温めます。
伝導や対流が熱の移動であるのに対し、放射の場合は熱を直接やり取りするわけではなく、電磁波エネルギーを熱エネルギーに変換するという点がポイントです。また、そのエネルギーは温度の4乗の差(T24-T14)に比例するので、少し温度が上がるだけで放射エネルギーは大きく上がります。
以上が伝導、対流、放射の説明ですが、これらは必ずしも独立して用いられるわけではありません。たとえば、電気ストーブを使うときの室内への熱伝達は、放射と対流が同時に行われます。
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