電験三種 H30年 理論 問13 問題と解説

 問 題     

図1は、ダイオードD、抵抗値R[Ω]の抵抗器、及び電圧E[V]の直流電源からなるクリッパ回路に、正弦波電圧vi=Vmsinωt[V](ただし、Vm>E>0)を入力したときの出力電圧vo[V]の波形である。

図2(a)~(e)のうち図1の出力波形が得られる回路として、正しいものの組合せを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、ω[rad/s]は角周波数、t[s]は時間を表す。また、順電流が流れているときのダイオードの端子間電圧は0Vとし、逆電圧が与えられているときのダイオードに流れる電流は0Aとする。

  1. (a)、(e)
  2. (b)、(d)
  3. (a)、(d)
  4. (b)、(c)
  5. (c)、(e)

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

まず確認しておきたいのが、図1の破線で示されているカーブは図2の入力電圧viが対応していて、図1の実線で示されている軌跡は図2の出力電圧voが対応しているということです。

また、問題文にある「順電流が流れているときのダイオードの端子間電圧は0Vとし、逆電圧が与えられているときのダイオードに流れる電流は0Aとする」というのは重要です。これはダイオードの性質そのものなので、この記載がなくても知識として押さえておきたい内容です。

以上を踏まえて、以下の解法を確認してください。

図1の実線を見ると、入力電圧viがEよりも大きいところでは、出力電圧vo=入力電圧viとなっています。つまり、入力が大きいときは順電流が出力側へと流れるということです。

ここで図2(a)のダイオードの向きを確認すると、入力側からみた順電流がスムーズに出力側へ流れることができることがわかります。しかし、図2(b)や(c)ではダイオードの向きが順電流を妨げる向きになっているため、これでは電流が流れません。よって、(b)や(c)は不適であると判断できます。

また、入力電圧viがEよりも小さいときには出力はEとなります。そこで、今度は直流電源のところに注目すると、図2(e)のダイオードは直流電源と向き合っているので、これではEを出力することができません。よって、(e)も不適であることがわかります。

よって、残る(a)と(d)が正しいので、正解は(3)になります。

これらの回路図はいずれも、入力電圧が基準電圧以上であればそのまま出力し、入力電圧が基準電圧以下のときは基準電圧としてを出力することができます。

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