電験三種 H30年 機械 問5 問題と解説

 問 題     

次の文章は、同期発電機の種類と構造に関する記述である。

同期発電機では一般的に、小容量のものを除き電機子巻線は( ア )に設けて、導体の絶縁が容易であり、かつ、大きな電流が取り出せるようにしている。界磁巻線は( イ )に設けて、直流の励磁電流が供給されている。

比較的( ウ )の水車を原動機とした水車発電機は、50Hz又は60Hzの商用周波数を発生させるために磁極数が多く、回転子の直径が軸方向に比べて大きく作られている。

蒸気タービン等を原動機としたタービン発電機は、( エ )で運転されるため、回転子の直径を小さく、軸方向に長くした横軸形として作られている。磁極は回転軸と一体の鍛鋼又は特殊鋼で作られ、スロットに巻線が施される。回転子の形状から( オ )同期機とも呼ばれる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)   (イ)   (ウ)   (エ)   (オ)

  1. 固定子  回転子  高速度  高速度  突極形
  2. 回転子  固定子  高速度  低速度  円筒形
  3. 回転子  固定子  低速度  低速度  突極形
  4. 回転子  固定子  低速度  高速度  円筒形
  5. 固定子  回転子  低速度  高速度  円筒形

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

( ア )と( イ )に関して、同期機の構成は直流機や誘導機と同様、固定子と回転子から成ります。固定子と回転子の一方が界磁(磁束を作る役割)、他方が電機子(起電力を誘導する役割)としての役割を担いますが、固定子を電機子に、界磁を回転子にするのが一般的です。

これは、電流を流すほうを回転させるのが難しいため、と考えるとわかりやすいと思います。問題文にも「小容量のものを除き」と書かれているように、電流が小さいなら対応は容易ですが、電流が大きい上に回転させるとなると抵抗による熱も発生するので、その扱いが大変です。

よって、( ア )には「固定子」が、( イ )には「回転子」が入ります。

( ウ )と( エ )は水車発電機とタービン発電機の比較ですが、水車は水の落下によって回転させるのに対し、タービンは高温・高圧の蒸気の勢いで回転させています。

…となると液体よりも気体のほうが流速が速いので、( ウ )には「低速度」が、( エ )には「高速度」が入ります。

最後の( オ )は「突極形」か「円筒形」ですが、結論を先に書くと、タービン発電機には円筒形の回転子を、水車発電機には突極形の回転子を用います。

突極形は極数が多いために低速回転でもしっかりと発電量が確保できますが、機械的強度に不安があります。そのため、高速回転のために機械的強度を要求されるタービン発電機では、回転子の直径を小さくして機械的強度を高めた円筒形の回転子を使います。直径が大きいとそれだけ衝撃が大きくなるので、機械的強度は下がってしまうからです。

しかし、直径を小さくするということはそれだけ小ぶりな発電機になってしまい、出力の確保が心配されます。そこで、直径を小さくしたまま、軸方向の長さを長くする(つまり細長い回転子を使う)ことで、実用的な出力を実現しています。

よって、( オ )には「円筒形」が入ります。

以上から、正解は(5)です。

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