電験三種 H28年 法規 問13 問題と解説

 問 題     

図は、線間電圧V[V]、周波数f[Hz]の中性点非接地方式の三相3線式高圧配電線路及びある需要設備の高圧地絡保護システムを簡易に示した単線図である。高圧配電線路一相の全対地静電容量をC1[F]、需要設備一相の全対地静電容量をC2[F]とするとき、次の(a)及び(b)に答えよ。

ただし、図示されていない負荷、線路定数及び配電用変電所の制限抵抗は無視するものとする。

(a) 図の配電線路において、遮断器が「入」の状態で地絡事故点に一線完全地絡事故が発生し地絡電流Ig[A]が流れた。このときIgの大きさを表す式として正しいものは次のうちどれか。

ただし、間欠アークによる影響等は無視するものとし、この地絡事故によって遮断器は遮断しないものとする。

(b) 上記(a)の地絡電流Igは高圧配電線路側と需要設備側に分流し、需要設備側に分流した電流は零相変流器を通過して検出される。上記のような需要設備構外の事故に対しても、零相変流器が検出する電流の大きさによっては地絡継電器が不必要に動作する場合があるので注意しなければならない。

地絡電流Igが高圧配電線路側と需要設備側に分流する割合はC1とC2の比によって決まるものとしたとき、Igのうち需要設備の零相変流器で検出される電流の値[mA]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、V=6600V、f=60Hz、C1=2.3μF、C2=0.02μFとする。

  1. 54
  2. 86
  3. 124
  4. 152
  5. 256

 

 

 

 

 

正解 (a)-(4), (b)-(2)

 解 説    

(a)

問題の図は単線図なのでわかりづらいですが、中性点非接地方式の三相3線式高圧配電線路で地絡事故が起きた際の模式図は下図上側のように描くことができ、これを等価回路にすると下図左下側のように表されます。

さらに、対地静電容量3つ分が並列に並ぶので合成すると3Cとなるため、下図右下側のようにまとめることができます。

今回の問題では、地絡した箇所の左右に対地静電容量があるので、上記と同様に考えると等価回路は以下のように描くことができます。

ここで押さえておきたいことは、三相3線式の線間電圧がVであるとき、地絡前の対地電圧EはV/√3となるという点です。

上図において、2つの静電容量は並列に並んでいるので、求めたい地絡電流Igは次のように計算できます。

(b)

問題文にもある通り、2つ静電容量が並列にした場合、分流した電流の大きさはC1とC2の比で決まります。

これがすんなり納得できない方は、電圧が一定のとき、電流Iの大きさはインピーダンスの大きさと反比例し、インピーダンス自体(=1/ωC)が静電容量Cに反比例しているので、正味でIはCに比例する…と考えるとわかると思います。

高圧配電線路側(C1側)を流れる電流の大きさをI1、需要設備側(C2側)を流れる電流の大きさをI2とすると、零相変流器は需要設備側にあるので、その電流I2は次のように計算することができます。

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