問 題
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における地中電線と他の地中電線等との接近又は交差に関する記述の一部である。
低圧地中電線と高圧地中電線とが接近又は交差する場合、又は低圧若しくは高圧の地中電線と特別高圧地中電線とが接近又は交差する場合は、次の各号のいずれかによること。
ただし、地中箱内についてはこの限りでない。
a) 地中電線相互の離隔距離が、次に規定する値以上であること。
- 低圧地中電線と高圧地中電線との離隔距離は、( ア )m
- 低圧又は高圧の地中電線と特別高圧地中電線との離隔距離は、( イ )m
b) 地中電線相互の間に堅ろうな( ウ )の隔壁を設けること。
c) ( エ )の地中電線が、次のいずれかに該当するものである場合は、地中電線相互の離隔距離が、0m以上であること。
- 不燃性の被覆を有すること。
- 堅ろうな不燃性の管に収められていること。
d) ( オ )の地中電線が、次のいずれかに該当するものである場合は、地中電線相互の離隔距離が、0m以上であること。
- 自消性のある難燃性の被覆を有すること。
- 堅ろうな自消性のある難燃性の管に収められていること。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
- 0.15 0.3 耐火性 いずれか それぞれ
- 0.15 0.3 耐火性 それぞれ いずれか
- 0.1 0.2 耐圧性 いずれか それぞれ
- 0.1 0.2 耐圧性 それぞれ いずれか
- 0.1 0.3 耐火性 いずれか それぞれ
解 説
地中電線に関連した離隔距離には、4つの場合について、それぞれの数値を覚えておきたいです。まずは本問で出題されている「地中電線相互」の場合の2つの規定を以下に記載します。
- 地中電線相互の場合、低圧地中電線と高圧地中電線との離隔距離は0.15m以上が必要です。
- 低圧または高圧の地中電線と特別高圧地中電線との離隔距離は、0.3m以上が必要です。
上記の2文が問題文のaに対応しますが、b、c、dの条件を満たせばこの離隔距離を守らなくても構いません。
よって、( ア )と( イ )にはそれぞれ「0.15」と「0.3」が入ります。
一方、この問題からは話が逸れますが、地中電線相互ではなく、地中電線が地中弱電流電線と接近または交差する場合にも、決められた離隔距離が必要となります。
- 地中電線の使用電圧の区分が低圧または高圧の場合、離隔距離は0.3m以上が必要です。
- 地中電線の使用電圧の区分が特別高圧の場合、離隔距離は0.6m以上が必要です。
続いて、bの文章にある( ウ )について、cやdの文章を見てもわかるように、地中電線において問題となるのは、いかに火災から守るかという点です。
火災については電線の経年劣化や地絡などによって生じるおそれがありますが、電線に極端な圧力が掛かるというようなシチュエーションはほとんどありません。よって、( ウ )には「耐火性」を入れるのが適切だと判断できます。
( エ )と( オ )については、どちらかが「いずれか」で、他方が「それぞれ」となります。cとdの文章の違いは、「不燃性」か「自消性のある難燃性」かの違いですが、もちろん「燃えにくい(難燃性)」よりも「燃えない(不燃性)」のほうが耐火性能は優れているといえます。
よって、仮に( エ )に「それぞれ」を入れてしまうと、接近する2本の電線ともに不燃性という理想的な状況になりますが、一方、( オ )が「いずれか」になるので、2本のうち片方は難燃性で、もう片方は何でもよい…とかなり耐火性の怪しい組み合わせになってしまいます。
それではcの文章が許されても、dの文章がおかしくなってしまうので、これは誤りだとわかります。
逆に、( エ )に「いずれか」を入れれば、接近する2本の電線のうち片方は不燃性だから、もう片方がどんなものでも比較的安心でき、( オ )が「それぞれ」となるので、2本とも難燃性であれば、一定のリスク回避として成り立ちます。
よって、( エ )には「いずれか」を、( オ )には「それぞれ」を選ぶのが適切であると判断できます。
以上から、
- 0.15
- 0.3
- 耐火性
- いずれか
- それぞれ
となるので、正解は(1)です。
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