電験三種 H28年 電力 問5 問題と解説

 問 題     

各種の発電に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 燃料電池発電は、水素と酸素との化学反応を利用して直流の電力を発生させる。化学反応で発生する熱は給湯などに利用できる。
  2. 貯水池式発電は水力発電の一種であり、季節的に変動する河川流量を貯水して使用することができる。
  3. バイオマス発電は、植物などの有機物から得られる燃料を利用した発電方式である。さとうきびから得られるエタノールや、家畜の糞から得られるメタンガスなどが燃料として用いられている。
  4. 風力発電は、風のエネルギーによって風車で発電機を駆動し発電を行う。風力発電で取り出せる電力は、損失を無視すると、風速の2乗に比例する。
  5. 太陽光発電は、太陽電池によって直流の電力を発生させる。需要地点で発電が可能、発生電力の変動が大きい、などの特徴がある。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

風力発電は風の持つ運動エネルギーで風車を回転させ、それを電気エネルギーに変換する発電方式です。風のもつエネルギー(=風力発電で取り出せる電力)は風速の「2乗」ではなく、「3乗」に比例します。

以上は重要知識として押さえておきたい内容ですが、運動エネルギーの式から考えることもできます。風力発電で取り出せる電力の式は以下の式で表すことができます。

  • P:風力発電で取り出せる電力=1秒間に風車を通過する風のもつエネルギー [J/s]
  • m:風の質量(1秒間に風車を通過する空気の量) [kg/s]
  • v:風速 [m/s]

ここで、本来ならエネルギーの単位は[J]ですが、風というのは実体がない(質量がない)ものなので、ここでは「1秒あたり」として考えます。「1秒あたり」と時間を限定すれば、1秒の間に風車を通過する空気の量であれば決めることができるので、これが上式のmになります。

上式を見ると、Pはvの2乗に比例するように見えます。しかし、mは1秒間に風車を通過する空気の量なので、これも風速vに比例することがわかります。よって、これらを合わせると、Pはvの3乗に比例するということになります。

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