電験三種 H27年 理論 問11 問題と解説

 問 題     

次の文章は、半導体レーザ(レーザダイオード)に関する記述である。

レーザダイオードは、図のような3層構造を成している。p形層とn形層に挟まれた層を( ア )層といい、この層は上部のp形層及び下部のn形層とは性質の異なる材料で作られている。前後の面は半導体結晶による自然な反射鏡になっている。

レーザダイオードに( イ )を流すと、( ア )層の自由電子が正孔と再結合して消滅するとき光を放出する。

この光が二つの反射鏡の間に閉じ込められることによって、( ウ )放出が起き、同じ波長の光が多量に生じ、外部にその一部が出力される。光の特別な波長だけが共振状態となって( ウ )放出が誘起されるので、強い同位相のコヒーレントな光が得られる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)  (イ)   (ウ)

  1. 空乏  逆電流  二次
  2. 活性  逆電流  誘導
  3. 活性  順電流  二次
  4. 活性  順電流  誘導
  5. 空乏  順電流  二次

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

( ア )について、レーザダイオードはp形層、活性層、n形層の3相から成るので、ここには「活性」が入ります。

選択肢にある「空乏層」というのは、レーザダイオードではなく、より単純な構造をしたPNダイオードにおいて、p形層とn形層の間にできる電気的に打ち消された層のことです。レーザダイオードは問題文にも「p形層及びn形層とは性質の異なる材料」とあるので、空乏層のようなものはありません。

( イ )は、この直後に「活性層の自由電子が正孔と再結合」とあるので、活性層に自由電子があって、どこからか正孔が運ばれてくることがわかります(実際には活性層の中に自由電子も正孔も存在しますが、その中でどちら側かについて考えます)。

+電極側から来るなら正孔、-電極側から来るなら電子であるはずなので、今回は+から-へと流れるはずで、つまり「順電流」が正しいと判断できます。

( ウ )を含む文章のようにレーザダイオード内でエネルギーが増幅され、ある位相の電磁波だけが強力に放たれるような現象を、誘導放出といいます。よって、( ウ )には「誘導」が入ります。

また、レーザーというのは同位相・同波長の強力な電磁波であるのは有名ですが、このような性質をコヒーレントといいます。

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