問 題
定格電圧、定格電流、力率1.0で運転中の三相同期発電機がある。百分率同期インピーダンスは85%である。励磁電流を変えないで、無負荷にしたとき、この発電機の端子電圧は定格電圧の何倍になるか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、電機子巻線抵抗と磁気飽和は無視できるものとする。
- 1.0
- 1.1
- 1.2
- 1.3
- 1.4
正解 (4)
解 説
三相同期発電機の1相分の等価回路は次のように描くことができます(場合によってはxsの隣に電機子巻線抵抗がありますが、今回は問題文より無視できるので記入していません)。
- E:誘導起電力 [V](1相あたりはその√3分の1)
- Vn:定格電圧 [V]
- Vn/√3:定格運転時の1相あたりの端子電圧 [V]
- In:定格時の電機子電流 [A]
- xs:同期リアクタンス [Ω]
上図において、端子電圧は力率1で、同期インピーダンスは電機子巻線抵抗を無視できるため、同期リアクタンスと同じ意味になるため、ベクトル図は下図のように描くことができます。
ここで、Inxs=0.85Vn/√3と書き込んであるのは、百分率同期インピーダンスが、端子電圧(定格運転時、1相あたり)に対するインピーダンス降下を%で表したものだからです。
よって、上図に対して三平方の定理を使うと、誘導起電力Eは、
と表すことができます。
無負荷運転時の端子電圧は、(電機子巻線抵抗を無視できるときは)誘導起電力Eとそのまま同じ値をとるので、上記の計算式から、無負荷時の端子電圧は定格電圧の約1.3倍となります。
よって、正解は(4)です。
コメント