問 題
図のように他励直流機を直流チョッパで駆動する。電源電圧はE=200Vで一定とし、直流機の電機子電圧をVとする。IGBTQ1及びQ2をオンオフ動作させるときのスイッチング周波数は500Hzであるとする。なお、本問では直流機の定常状態だけを扱うものとする。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) この直流機を電動機として駆動する場合、Q2をオフとし、Q1をオンオフ制御することで、Vを調整することができる。電圧V1の平均値が150Vのとき、1周期の中でQ1がオンになっている時間の値[ms]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 0.75
- 1.00
- 1.25
- 1.50
- 1.75
(b) Q1をオフしてQ2をオンオフ制御することで、電機子電流の向きを(a)の場合と反対にし、直流機に発電動作(回生制動)をさせることができる。この制御において、スイッチングの1周期の間でQ2がオンになっている時間が0.4msのとき、この直流機の電機子電圧V[V]として、最も近いVの値を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 40
- 160
- 200
- 250
- 1000
解 説
(a)
「1周期の中でQ1がオンになっている時間」が問われているので、まずは1周期が何秒なのかを計算します。周期T[s]は周波数f[Hz]の逆数なので、次のように計算できます。
Q1が2[ms]の間ずっとオンになっているとき、電圧V1は電源と同じく200[V]となります。今回はこれを150[V]にしたいので、以下の計算により時間t[ms]を求めることができます。
(b)
今度はQ1が常時オフなので、ひとまずは図の右下側(IGBTQ2と下側のダイオードと直流機)の回路だけで成立します。というのも、電源と上側のダイオードとが向かい合っているため、基本的には電流が流れないからです。
ただし、電圧V1が200[V]を超えるような場合には電源電圧を上回り、上側のダイオードから電流が流れることになります。これが回生制動の原理で、(a)の条件では電動機として働いていた直流機が、今度は発電機としてブレーキをかける役割を果たします。
ここで、図の右下側(IGBTQ2と下側のダイオードと直流機)の回路を見ると、IGBTQ2のスイッチをオンしている間は平滑リアクトルに電力が蓄積され、Q2がオフになると、平滑リアクトルに逆起電力が発生し、蓄積されたエネルギーが放出されます。
Q2がオンしている間はV1とVは等しいですが、Q2がオフしている間のV1はVよりも大きくなります(Vに加えて、平滑リアクトルの逆起電力分が加算されます)。つまり、この回路は直流昇圧チョッパとなっていることがわかります。
昇圧後の電圧V1は、昇圧前の電圧V、ターンオンの時間Ton、ターンオフの時間Toffを用いると次の式で表すことができます。これは直流昇圧チョッパの公式として、ぜひ押さえておきたい重要な式です。
よって、上式に問題文で与えられた数値を代入することで、直流機の電機子電圧(昇圧前の電圧)Vを求めることができます。
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