問 題
次の文章は、三相かご形誘導電動機に関する記述である。
定格負荷時の効率を考慮して二次抵抗値は、できるだけ( ア )する。滑り周波数が大きい始動時には、かご形回転子の導体電流密度が( イ )となるような導体構造(たとえば深溝形)にして、始動トルクを大きくする。
定格負荷時は、無負荷時より( ウ )であり、その差は( エ )。このことから三相かご形誘導電動機は( オ )電動機と称することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
- 小さく 不均一 低速度 小さい 定速度
- 大きく 不均一 低速度 大きい 変速度
- 小さく 均一 低速度 小さい 定速度
- 大きく 均一 高速度 大きい 変速度
- 小さく 不均一 高速度 小さい 変速度
解 説
( ア )について、抵抗が大きければ大きいほど、エネルギーは熱となって失われてしまいます。損失が大きければ効率は低下してしまうので、抵抗はできるだけ「小さく」するほうが望ましいです。
( イ )について、三相かご形誘導電動機は、始動時に流れる電流が大きい割に始動トルクが小さいという特徴があります。しかし、回転子の構造を深溝形にすると表皮効果が現れ、電流が表面に集まるので抵抗が大きくなり、ひいては始動トルクを大きくすることができます(ついでに始動電流は抑えられます)。
ちなみに、表皮効果とは、電流密度が導体の表面で高くなり、表面から離れるにつれ低くなっていく現象です。よって、回転子の構造を深溝形にする目的は、導体電流密度を不均一にして始動トルクを大きくすることなので、( イ )には「不均一」が入ります。
( ウ )には「低速度」か「高速度」が入りますが、負荷をかけて運転しているときの回転速度は、空運転をしているときの回転速度に比べると、負荷による抵抗を受ける分、当然、「低速度」となります。
しかし、三相かご形誘導電動機は負荷をかけたときでも速度があまり落ちないことが特徴です。よって、( エ )には「小さい」が入ります。
また、定格負荷時でも無負荷時と比べて速度があまり落ちないことから、三相かご形誘導電動機は「定速度」電動機と呼ばれることがあります。これが( オ )です。
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