問 題
三相3線式、受電電圧6.6kV、周波数50Hzの自家用電気設備を有する需要家が、直列リアクトルと進相コンデンサからなる定格設備容量100kvarの進相設備を施設することを計画した。この計画におけるリアクトルには、当該需要家の遊休中の進相設備から直列リアクトルのみを流用することとした。
施設する進相設備の進相コンデンサのインピーダンスを基準として、これを‐j100%と考えて、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
なお、関係する機器の仕様は、次のとおりである。
- 施設する進相コンデンサ:回路電圧6.6kV、周波数50Hz、定格容量三相106kvar
- 遊休中の進相設備:回路電圧6.6kV、周波数50Hz
進相コンデンサ 定格容量三相160kvar
直列リアクトル 進相コンデンサのインピーダンスの6%
(a) 回路電圧6.6kVのとき、施設する進相設備のコンデンサの端子電圧の値[V]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 6600
- 6875
- 7020
- 7170
- 7590
(b) この計画における進相設備の、第5調波の影響に関する対応について、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- インピーダンスが0%の共振状態に近くなり、過電流により流用しようとするリアクトルとコンデンサは共に焼損のおそれがあるため、本計画の機器流用は危険であり、流用してはならない。
- インピーダンスが約-j10%となり進み電流が多く流れ、流用しようとするリアクトルの高調波耐量が保証されている確認をしたうえで流用する必要がある。
- インピーダンスが約+j10%となり遅れ電流が多く流れ、流用しようとするリアクトルの高調波耐量が保証されている確認をしたうえで流用する必要がある。
- インピーダンスが約-j25%となり進み電流が流れ、流用しようとするリアクトルの高調波耐量を確認したうえで流用する必要がある。
- インピーダンスが約+j25%となり遅れ電流が流れ、流用しようとするリアクトルの高調波耐量を確認したうえで流用する必要がある。
解 説
(a)
まず、遊休中の進相設備において、160kvarの進相コンデンサを基準にしたときの直列リアクトルの%インピーダンスが6%であるとわかっています。この直列リアクトルを106kvarの進相コンデンサにつなげるので、106kvarを基準にしたときの直列リアクトルの%インピーダンス(%ZL)を次のように求めます。
よって、新たに施設する進相設備の1相あたりの等価回路は次のように描くことができます。
上図より、この回路におけるコンデンサの端子電圧VC[V]は次のように計算できます。
また、求める答えは三相3線式全体なので、線間電圧を求めるには相電圧を√3倍すればよいことから、施設する進相設備のコンデンサの端子電圧VC‘[V]は、
となります。
(b)
第5調波とは、周波数が基本波の5倍となることを示しています。直列リアクトルのインピーダンスはωL=2πfLより、周波数が5倍になればインピーダンスも5倍になります。進相コンデンサのインピーダンスは1/ωC=1/2πfCより、周波数が5倍になるとインピーダンスも1/5倍になります。
(a)で計算した結果、基本波では直列リアクトルの%インピーダンスが+3.975[%]、進相コンデンサの%インピーダンスが-100[%]なので、第5調波ではそれぞれ×5と÷5をすると、+19.9[%]と-20[%]になります。
よって、その合成%インピーダンスはほぼ0であり共振状態に近くなるので、選択肢(1)が正しい記述となります。
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