問 題
図は、NOT IC、コンデンサC及び抵抗を用いた非抵抗マルチバイブレータの原理図である。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) この回路に関する三つの記述(ア)~(ウ)について、正誤の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- この回路は電源を必要としない。
- 抵抗R1[Ω]の値を大きくすると、発振周波数は高くなる。
- 抵抗器R2は、NOT1に流れる入力電流を制限するための素子である。
(ア) (イ) (ウ)
- 正 正 正
- 正 正 誤
- 正 誤 誤
- 誤 正 誤
- 誤 誤 正
(b) 次の波形の中で、コンデンサCの端子間電圧VC[V]の時間t[s]の経過による変化の特徴を最もよく示している図として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、いずれの図も1周期分のみを示している。
解 説
(a)
(ア)について、問題文の図には電源が描いてありませんが、コンデンサと抵抗だけでは電流が流れないので、電源は必要です。よって、(ア)は誤りです。この時点で選択肢は(4)と(5)に絞られるので、(イ)か(ウ)のどちらかがわかれば正解できます。
(イ)について、発振周波数はR1ともCとも反比例の関係になるため、R1を大きくすると発振周波数は低くなります。よって、(イ)は誤りですが、発振周波数という言葉に聞きなじみがなく判断がつかなければ、(イ)については解答を保留して、(ア)と(ウ)から正解を導ければよいと個人的には思います。
(ウ)について、R2を流れる電流が大きければ、NOT1の入力が1(ON)になり、出力が0(OFF)になります。よって、(ウ)の記述は正しいといえます。
以上より、正解は(5)となります。
(b)
選択肢をざっと見ていくと、(1)~(5)のいずれも0[s]から時間が経過すると、まずはVC[V]が下がっています。つまり、0[s]の時点でVC[V]が最大値ということは、コンデンサCが充分に充電されている状態からのスタートとなります。
この状態からコンデンサCの放電が進むにつれ、R1やR2を流れる電流は徐々に小さくなっていきます。ついにNOT1に電流が流れなくなったとき、NOT1の入力が0(OFF)、出力が1(ON)に転じます。
すると、NOT1の出力側がNOT2の入力側とつながっているため、NOT2の入力が1(ON)、出力が0(OFF)となります。これはつまり、流れる電流の向きが最初と反対になり、放電から充電へと転換したことを意味します。
以上の説明より、選択肢の中で正負が入れ替わっている(放電と充電が行われている)のは(2)と(5)の2つのみであり、また、充分に充電されている状態からの放電は勢いが良く、残り少ないときの放電はゆっくり進行するなど、充電にしても放電にしても初動のほうが勢いがあることを考えると、正解は(2)だと判断できます。
コメント