電験三種 H25年 理論 問12 問題と解説

 問 題     

図の回路において、十分に長い時間開いていたスイッチSを時刻t=0[ms]から時刻t=15[ms]の間だけ閉じた。このとき、インダクタンス20[mH]のコイルの端子間電圧v[V]の時間変化を示す図として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

まず、t=0[ms]のときにはスイッチを閉じた瞬間なので、まだコイルのほうに電流が流れません。よって、電源のほかには10[Ω]の抵抗と20[Ω]の抵抗が直列に並んでいるだけの回路と等価な状態です。電源が30[V]で合成抵抗が30[Ω]なので、このとき流れる電流は1[A]です。求めるコイルの端子間電圧v[V]は20[Ω]の抵抗の端子電圧と同等なので、

となります。つまり、t=0[ms]のときにはv=20[V]です。この時点で答えが(4)と(5)に絞られます。

続いて、0<t<15のときを考えます(選択肢(4)も(5)もこの範囲は同じなので、問題を解く上では意味がないのですが…)。ここでは時間経過とともにコイルにも電流が流れていきます。充分な時間が経過すると全ての電流が20[Ω]の抵抗ではなくコイルのほうに流れるようになります。

この状態は短絡している状態と同じなので、このときのコイルの端子電圧v[V]は0[V]です。ちなみにコイルに流れている電流は、電源の30[V]と抵抗の10[Ω]から、3[A]となります。

次に、t=15[ms]のときです。このときにスイッチを急に開くので、20[Ω]の抵抗とコイルとの回路になって、コイルに蓄えられた電気がこの回路を流れます。3[A]の電流が20[Ω]の抵抗に流れるとき、その電圧は60[V]になりますが、閉じた回路が成り立つためにはコイルの端子電圧は抵抗側の60[V]を打ち消すために、-60[V]とならなくてはいけません。

よって、選択肢(4)が正しいということになります。

ちなみに、15<t[ms]では、時間経過とともに起電力は減衰していって、最終的に電流は流れなくなるので、端子電圧も0[V]になります。

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