問 題
高圧進相コンデンサの劣化診断について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 三相3線式50[Hz]、使用電圧6.6[kV]の高圧電路に接続された定格電圧6.6[kV]、定格容量50[kvar](Y結線、一相2素子)の高圧進相コンデンサがある。その内部素子の劣化度合い点検のため、運転電流を高圧クランプメータで定期的に測定していた。
ある日の測定において、測定電流[A]の定格電流[A]に対する比は、図1のとおりであった。測定電流[A]に最も近い数値の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、直列リアクトルはないものとして計算せよ。
R相 S相 T相
- 6.6 5.0 5.0
- 7.5 5.7 5.7
- 3.8 2.9 2.9
- 11.3 8.6 8.6
- 7.2 5.5 5.5
(b) (a)の測定により、劣化による内部素子の破壊(短絡)が発生していると判断し、機器停止のうえ各相間の静電容量を2端子測定法(1端子開放で測定)で測定した。
図2のとおりの内部結線における素子破壊(素子極間短絡)が発生しているとすれば、静電容量測定結果の記述として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、図中×印は、破壊素子を表す。
- R-S相間の測定値は、最も小さい。
- S-T相間の測定値は、最も小さい。
- T-R相間は、測定不能である。
- R-S相間の測定値は、S-T相間の測定値の約75[%]である。
- R-S相間とS-T相間の測定値は、等しい。
解 説
(a)
定格電圧Vと定格容量Qが与えられているので、定格電流Iは
より、
になります。
図1より、R相、S相、T相の測定電流は、定格電流のそれぞれ、1.50倍、1.15倍、1.15倍なので、上記の4.37[A]に、×1.50、×1.15、×1.15をした選択肢が答えになります。
(b)
問題文にも( )書きである通り、内部素子の破壊とは短絡のことなので、R相の2素子のうちの1つはないもの(ただの線)と考えることができます。
そうすると、R-S相間(2端子測定法なので、ここではT相については考えません)については、3つのコンデンサ(静電容量をCとします)の直列接続になるため、その合成静電容量CRSは、
となります。S-T相間も同様に考えると、コンデンサ4つの直列接続なので、
となり、T-R相間は、コンデンサ3つの直列接続なので、
です。
ここで選択肢を確認すると、(1)について、CRS=C/3[F]ですが、CST=C/4[F]なので、最小ではなく不適です。
(2)は、CST=C/4[F]に対して、ほかがC/3[F]なので正しいです。
(3)について、CTR=C/3[F]と、測定できています。
(4)と(5)は、CRS=C/3[F]、CST=C/4[F]より、133[%]なので、75[%]でもなければ等しくもないです。
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