電験三種 H25年 法規 問11 問題と解説

 問 題     

高圧進相コンデンサの劣化診断について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 三相3線式50[Hz]、使用電圧6.6[kV]の高圧電路に接続された定格電圧6.6[kV]、定格容量50[kvar](Y結線、一相2素子)の高圧進相コンデンサがある。その内部素子の劣化度合い点検のため、運転電流を高圧クランプメータで定期的に測定していた。

ある日の測定において、測定電流[A]の定格電流[A]に対する比は、図1のとおりであった。測定電流[A]に最も近い数値の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、直列リアクトルはないものとして計算せよ。

   R相  S相  T相

  1. 6.6   5.0  5.0
  2. 7.5   5.7  5.7
  3. 3.8   2.9  2.9
  4. 11.3  8.6  8.6
  5. 7.2   5.5  5.5

(b) (a)の測定により、劣化による内部素子の破壊(短絡)が発生していると判断し、機器停止のうえ各相間の静電容量を2端子測定法(1端子開放で測定)で測定した。

図2のとおりの内部結線における素子破壊(素子極間短絡)が発生しているとすれば、静電容量測定結果の記述として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、図中×印は、破壊素子を表す。

  1. R-S相間の測定値は、最も小さい。
  2. S-T相間の測定値は、最も小さい。
  3. T-R相間は、測定不能である。
  4. R-S相間の測定値は、S-T相間の測定値の約75[%]である。
  5. R-S相間とS-T相間の測定値は、等しい。

 

 

 

 

 

正解 (a)-(1), (b)-(2)

 解 説    

(a)

定格電圧Vと定格容量Qが与えられているので、定格電流Iは

より、

になります。

図1より、R相、S相、T相の測定電流は、定格電流のそれぞれ、1.50倍、1.15倍、1.15倍なので、上記の4.37[A]に、×1.50、×1.15、×1.15をした選択肢が答えになります。

(b)

問題文にも( )書きである通り、内部素子の破壊とは短絡のことなので、R相の2素子のうちの1つはないもの(ただの線)と考えることができます。

そうすると、R-S相間(2端子測定法なので、ここではT相については考えません)については、3つのコンデンサ(静電容量をCとします)の直列接続になるため、その合成静電容量CRSは、

となります。S-T相間も同様に考えると、コンデンサ4つの直列接続なので、

となり、T-R相間は、コンデンサ3つの直列接続なので、

です。

ここで選択肢を確認すると、(1)について、CRS=C/3[F]ですが、CST=C/4[F]なので、最小ではなく不適です。

(2)は、CST=C/4[F]に対して、ほかがC/3[F]なので正しいです。

(3)について、CTR=C/3[F]と、測定できています。

(4)と(5)は、CRS=C/3[F]、CST=C/4[F]より、133[%]なので、75[%]でもなければ等しくもないです。

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