電験三種 H24年 電力 問2 問題と解説

 問 題     

次の文章は、汽力発電所のタービン発電機の特徴に関する記述である。

汽力発電所のタービン発電機は、水車発電機に比べ回転速度が( ア )なるため、( イ )強度を要求されることから、回転子の構造は( ウ )にし、水車発電機よりも直径を( エ )しなければならない。このため、水車発電機と同出力を得るためには軸方向に( オ )することが必要となる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、最も適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  (ア)   (イ)   (ウ)   (エ)   (オ)

  1. 高く  熱的   突極形  小さく  長く
  2. 低く  熱的   円筒形  大きく  短く
  3. 高く  機械的  円筒形  小さく  長く
  4. 低く  機械的  円筒形  大きく  短く
  5. 高く  機械的  突極形  小さく  長く

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

汽力発電所のタービン発電機は「汽」、つまり蒸気を使っています。液体である水よりも気体である蒸気のほうが勢いがあるため、その分回転速度も上がります。よって、( ア )には「高く」が入ります。

また、( イ )は「熱的」または「機械的」であり、蒸気は水よりも熱いので熱的強度も求められるとは思いますが、ここでは、「回転速度が高くなるため、( イ )強度を要求される」とあるので、高速回転に耐え得る物理的な強度という意味で、「機械的」を選ぶのが正しいです。

( ウ )は「突極形」か「円筒形」ですが、結論を先に書くと、タービン発電機には円筒形の回転子を、水車発電機には突極形の回転子を用います。

突極形は極数が多いために低速回転でもしっかりと発電量が確保できますが、機械的強度に不安があります。そのため、機械的強度を要求されるタービン発電機では、回転子の直径を小さくして機械的強度を高めた円筒形の回転子を使います。直径が大きいとそれだけ衝撃が大きくなるので、機械的強度は下がってしまうからです。

しかし、直径を小さくするということはそれだけ小ぶりな発電機になってしまい、出力の確保が心配されます。そこで、直径を小さくしたまま、軸方向の長さを長くする(つまり細長い回転子を使う)ことで、実用的な出力を実現しています。

よって、( エ )には「小さく」、( オ )には「長く」が入ります。

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