調相設備(電力用コンデンサ・分路リアクトル)

本項では調相設備の種類とそれぞれの役割について解説をします。

調相設備には4つの種類があり、どれも電圧調整と電圧損失を軽減するための設備です。もう少し具体的にいうと、調相設備というのは受電端において負荷変動が起こった際に、うまく進みor遅れ無効電力を増加させて送電端と受電端の電圧を一定値に保つ役割をします。

以下に4種の調相設備のそれぞれについて説明していきます。

  1. 同期調相機
  2. 電力用コンデンサ(進相コンデンサ)
  3. 分路リアクトル
  4. 静止型無効電力補償装置

同期調相機

同期調相機とは、無負荷の同期電動機のことです。同期電動機を無負荷運転し、励磁電流を加減することで進みor遅れ電流を流しています。つまり、進み無効電力と遅れ無効電力のどちらの調整もできる調相設備です。

また、調整が連続的にできるのも特徴です(後述の電力用コンデンサや分路リアクトルではできません)。しかし、保守が大変なこともあり、あまり多くは用いられません。

電力用コンデンサ(進相コンデンサ)

電力用コンデンサ(進相コンデンサ)は、重負荷により受電端の電圧が低下した際に、電圧を上昇させるために使われます。

重負荷では遅れ無効電力を消費している状態ですが、コンデンサによって進み無効電流を増加させると、これによって消費する進み無効電力が負荷で消費する遅れ無効電力を打ち消し、力率が進んで(1に近づいて)力率が改善します。

また、同期調相機とは違い、調整は段階的にしかできません。

そして、電力用コンデンサ(進相コンデンサ)を使う際には直列リアクトルも必要です。この直列リアクトルは以下のような役割を果たします。

  • コンデンサ投入時の過渡電流の制限
  • 高調波電流による電圧電流波形のひずみの軽減
  • コンデンサ開放時の再点弧の発生防止

分路リアクトル

分路リアクトルは、軽負荷により受電端の電圧が上昇した際に、電圧を低下させるのに使われます。

軽負荷では進み無効電力を消費している状態ですが、リアクトルによって遅れ無効電流を増加させると、これによって消費する遅れ無効電力が負荷で消費する進み無効電力を打ち消し、力率が遅れて(1に近づいて)力率が改善します。

これは、電力用コンデンサとはちょうど逆の働きをすると覚えればよいです。

また、分路リアクトルも調整が連続的にはできず、段階的となります。そして、騒音や振動が大きいのが難点です。

静止型無効電力補償装置

静止型無効電力補償装置は、パワーエレクトロニクスを用いることで、高速で連続的に無効電力を調整できる最新型の調相設備です。

さらに細分すると、以下のような方式に分かれます。

  • サイリスタ制御リアクトル方式
  • サイリスタ開閉コンデンサ方式
  • 自励式インバータ方式

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