絶縁材料

絶縁材料は電流を遮断するために用いられます。優れた絶縁材料は、絶縁耐力が高く、絶縁抵抗が大きく、誘電体損が少ないといった特徴があります。

また、絶縁材料を分類するときには気体・液体・固体で分けます。この違いによって絶縁材料としての特徴も大きく異なりますので、以下にそれぞれについて説明します。

気体絶縁材料

まずは「気体絶縁材料」の説明をします。これが3つの中で一番重要といえます。

気体絶縁材料とは、具体的には空気や六ふっ化硫黄(SF6)ガス、水素ガスなどを用います。気体を使うメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 軽い
  • 圧力を上げることで絶縁耐力を高められる
  • 真空にすると絶縁耐力を高めるとともに、アークの消弧性能も上がる
  • 不燃性である(上記のような種類のガスを用いれば)

一方、デメリットも少しあります。

  • 固体や液体に比べると、絶縁耐力が劣る
  • 固体や液体に比べると、冷却性能が劣る(水素ガスはこの点が優秀)

気体絶縁材料としてたびたび取り上げられるのが、六ふっ化硫黄(SF6)ガスです。これは無色・無臭の気体で、不燃性のため火災の心配がありません。化学的にも不活性(安定)であり、比重は空気よりも重いです。

圧力を上げて使用することで、液体絶縁材料である絶縁油に劣らぬ絶縁耐力を得ることができます。また、上記のメリットにも挙げたとおり、アークの消弧性能が高いという特徴があります。

六ふっ化硫黄(SF6)ガスは、ガス遮断器や変電所のガス絶縁開閉装置(GIS)に多く用いられます。

ただし、SF6ガスは温室効果ガスであり、地球温暖化に及ぼす影響は同じ質量の二酸化炭素と比べてはるかに大きいです。そのため、使用量の削減や回収が課題となっています。一方で、フロンガスと違ってオゾン層を破壊することはありません(誤った文章として出題されることがあります)。

空気も絶縁材料として使われます。空気は誘電体損が小さいという優れた特徴があります。また、真空にすることで絶縁耐力とアーク消弧性能が上がります。これは真空バルブとして使われています。

水素ガスは熱伝導率が大きいため、冷却効果が高いです。また、空気は六ふっ化硫黄ガスよりも軽いですが、水素は空気よりも軽いガスです。

液体絶縁材料

続いて、「液体絶縁材料」です。

液体絶縁材料の位置づけは、気体と固体の間ということになります。液体を使う際の特徴としては、絶縁のほかに冷却も兼ねるということです。そのため、粘度が低く流動的で、比熱、熱伝導度の大きなものが用いられます。

液体絶縁材料といえば多くの場合、絶縁油を指します。一般に古くから鉱油系絶縁油が使用されていますが、難燃性や低損失性、信頼性など、より優れた特性が要求される場合には合成絶縁油が採用されています。また、環境への配慮から植物性絶縁油の採用も進められているところです。

固体絶縁材料

最後に、「固体絶縁材料」です。

固体絶縁材料には、架橋ポリエチレンやエポキシ樹脂などがあります。架橋ポリエチレンは電力ケーブルや絶縁電線に使われます。エポキシ樹脂は屋内の変圧器やCTなどで用いられます。


以上が絶縁材料の種類と特徴でしたが、最後に絶縁材料の劣化について説明します。

絶縁材料は熱や電気、湿気、機械的な要因(振動や外力)によって、その性能が劣化していきます。そのため、その絶縁材料を使う場所の条件に見合った性能(耐熱や耐湿など)を持つ絶縁材料を選ぶことが大切です。

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