汽力発電の効率

この項では、汽力発電所の効率について扱います。

まず、効率というのは入力と出力の比のことで、燃料として100[J]使ったときに40[J]分が電気エネルギーになれば、40[%]の効率ということになります。そして残りの60[%]が損失分となりますが、汽力発電所では様々な過程で損失が生じます。

汽力発電所の効率にはいくつかの種類があり、エネルギー損失の原因となるものによって、「サイクル効率」「ボイラ熱効率」「タービン発電機総合効率」などと呼ばれます。

サイクル効率

サイクル効率とは、前項で説明をしたランキンサイクルの理論熱効率です。式でサイクル効率(ηC)を示すと、以下のようになります。

式の下段のほうを見てもわかるように、サイクル効率というのは復水器での損失に依存します。

サイクル効率を上げようと思うなら、次のような手を打ちます。

  1. 復水器の真空度を上げる
  2. 蒸気を高温・高圧にする
  3. 再熱再生サイクルにする
  4. 節炭器や空気予熱器により排ガスの熱を有効利用する

このサイクル効率は一般的に45~50[%]程度です。後述するボイラやタービンの効率に比べ、ここの効率は低いです。つまり、汽力発電では復水器損失が最も大きいということになります。

ボイラ熱効率

次はボイラ熱効率です。これは名前のとおり、ボイラでの熱効率のことです。より具体的には、燃料の発熱量とボイラ蒸気発熱量との比になります。ここは大体85~90[%]程度となります。

タービン発電機総合効率

最後はタービン発電機総合効率です。少しややこしい名前ですが、これは「タービン効率」と「発電機効率」を合わせたものだからです。タービン効率はタービンの入力熱量と出力電力の比であり、発電機効率はタービンの出力電力と発電機の出力電力の比です。

つまり、タービン発電機総合効率とは、タービンの入力熱量に対して発電機で得られた電力の割合、ということになります。ここはおよそ75~80[%]の効率です。

発電端熱効率(汽力発電所の全体の効率)

以上の3つの効率を掛け合わせると汽力発電所の「発電端熱効率」となり、良いところで大体40[%]弱の効率となります。

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