電気を通すために用いられる材料が「導電材料」です。電気の通しやすさを表す尺度に「導電率」というものがありますが、これは抵抗率の逆数です。
導電率が大きい素材には、例えば銀や銅、金、アルミニウムなどがあります。ちなみに、鉄は電気を通しにくい物質です。銅を基準(100%)とした導電率は以下のようになります。
- 銀 :106%
- 銅 :100%(基準)
- 金 :72%
- アルミニウム:61%
- 鉄 :17%
これらの数字を詳しく覚える必要はありませんが、序列と、アルミニウムが銅の6割くらい、ということは知っておくと良いかもしれません。
上記のうち、実際に導電材料として主に用いられるのは、銅とアルミニウム、またはそれらを使った合金です。金や銀はコスト面から現実的ではなく、鉄は導電率が低いので使われません。
また、導電材料は導電率とコストだけで決まるものではありません。このほか、加工性や機械的強度、耐食性などが求められます。これらを加味しても、やはり銅やアルミニウムを使うのが妥当ということになります。
銅の特徴は上記の通り、導電率が高く、加工性や強度の面で優秀ということが挙げられます。導電材料としての銅線には2種類あり、ひとつは「硬銅線」、もうひとつは「軟銅線」です。
硬銅線は常温で銅を線引き加工したもので、導電率がやや低め(抵抗率が高め)になります。この硬銅線を400℃前後の高熱で焼きなますと軟銅線をなり、文字通り軟らかくなります。軟銅線のほうが導電率は高いです。
硬銅線と軟銅線はどちらが優れているということはなく、銅線を使う場所や機器の特徴・条件などを加味して選択します。
- 硬銅:引張強さや耐食性に優れるが、導電率が少し低い(軟銅比で97%)。架空送電線の銅導体として用いられる。
- 軟銅:引張強さは小さいが、伸びや可とう性に優れ、導電率が高い。地中ケーブルの銅導体として用いられる。
アルミニウムは銅に比べると導電率の面で劣りますが、銅に比べて軽い素材であるため、同じ電気抵抗の電線として比較しても、アルミ線の重さは銅線の半分くらいになります。
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