電験三種 R4年度上期 電力 問8 問題と解説

 問 題     

受電端電圧が20kVの三相3線式の送電線路において、受電端での電力が2000kW、力率が0.9(遅れ)である場合、この送電線路での抵抗による全電力損失の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、送電線1線当たりの抵抗値は9Ωとし、線路のインダクタンスは無視するものとする。

  1. 12.3
  2. 37.0
  3. 64.2
  4. 90.0
  5. 111

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

まずは三相3線式のうち1相と中性線とを結んだ等価回路を以下に示します。

  • Es:送電端電圧 [V]
  • Er:受電端電圧 [V]
  • I:線電流 [A]
  • R:抵抗(電線1条あたり) [Ω]
  • X:リアクタンス(電線1条あたり) [Ω]
  • P:受電端での電力(1相分) [W]
  • cosθ:力率

ここでは三相3線式のうち1相を取り出しているので、問題文で与えられている数値から、Erは1/√3倍、Pは1/3倍となります。また、インダクタンスは無視できるので、リアクタンスjX=0です。

上図より、電流Iは次のように計算できます。

よって、1相あたりの等価回路において、配電線路での抵抗による電力損失Plossは次のように計算できます。

上記は1線分の電力損失なので、これを3倍することで三相3線式配電線路全体の電力損失となります。

以上から、正解は(5)です。

コメント