誘導障害の概要と対策

この項では誘導障害の種類と対策について解説します。

誘導障害とは、電力線に近接した通信線や人に対して誘導電圧が発生してしまうことです。送電線の誘導障害には、「静電誘導障害」「電磁誘導障害」があります。

静電誘導障害

まずは、静電誘導障害から説明します。

電力線と通信線(もしくは人など)間、通信線(もしくは人など)と大地の間にはそれぞれ静電容量があります。前者の静電容量が大きいときには、通信線(もしくは人など)に電圧が生じ、通信障害や感電が起こります。この現象を、静電誘導障害といいます。

静電誘導障害を防止するためには、以下のような対策があります。

  1. 遮へい線を設ける
  2. 電力線と通信線(人)との間隔を広くする
  3. 2回線送電線では、両回線の相順を逆にする
  4. 直接接地方式など、1線地絡時でも健全相の対地電圧が小さくなるような接地方式にする

電磁誘導障害

もうひとつの誘導障害は、電磁誘導障害です。

これは送電線と通信線の間の相互インダクタンスによって生じる障害です。電力線を流れる電流によって通信線に電圧が生じ、通信障害などの悪影響を与えます。

電磁誘導障害を防止するためには、以下のような対策があります。

  1. 遮へい線を設ける(導電率が大きく、接地抵抗が小さい遮へい線がよい)
  2. 電力線と通信線との間隔を広くする
  3. 通信線にケーブルを用い、避雷器を設置する
  4. 1線地絡時の地絡電流が小さい接地方式を選ぶ(直接接地方式は望ましくない)
  5. 送電線をねん架する

「ねん架」というのは、送電線の配置箇所を区間ごとに入れ替えることです。そうすることで、各相の静電容量やインダクタンスが等しくなり、電流や電圧の不均衡を防ぎ、誘導障害の軽減につながります。

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