三相3線式送電線でまず最初に覚えておきたい3つの用語と公式があります。それらは、「電圧降下」、「送電電力」、「線路損失」です。本項でまず電圧降下について扱い、次項で送電電力と線路損失について紹介します。
電圧降下
電圧降下とは、三相3線式送電線における送電端の電圧と受電端の電圧の差です。その式は、結論から先に紹介すると、以下のようなものになります。
- Vd:電圧降下 [V]
- Vs:送電端電圧 [V]
- Vr:受電端電圧 [V]
- I:線電流 [A]
- R:抵抗(電線1条あたり) [Ω]
- X:リアクタンス(電線1条あたり) [Ω]
- cosθ:負荷の力率
この式を公式として覚えてしまえばおしまいなのですが、参考として以下に簡単に式の説明をします。導出を覚える必要まではないので、読み飛ばしても大丈夫です。
まずは三相3線式のうち一相と中性線とを結んだ等価回路を以下に示します。
- Es:送電端電圧 [V]
- Er:受電端電圧 [V]
- I:線電流 [A]
- R:抵抗(電線1条あたり) [Ω]
- X:リアクタンス(電線1条あたり) [Ω]
この回路をベクトル図で表すと次のようになります。
よって、送電端電圧Esは以下の式で表されます。
ここで、右辺のルートの中の第2項は第1項に比べてとても小さいので、この部分を省略した近似式を使います。すると、上式は以下の式に書き換えられます。
今は電圧降下が知りたいので、受電端電圧を左辺に持ってきます。
これで公式と大体同じ式になりました。この式を公式として使っても良いのですが、この項の上で示したのは、一相と中性線とを結んだ等価回路での電圧降下です。普通は三相3線式全体の、つまり線間電圧の差のことを電圧降下というので、V=√3Eより、最初に示した式となります。
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