遮断器は送電線などに何かしらのトラブルが生じた際、その事故点の周囲の電流を遮断することで、正常な部分に悪影響を及ぼすのを防ぐ役割を果たします。遮断器についての詳しい説明は開閉装置(遮断器・断路器)のページを参照してください。
本項では、この遮断器が作動する前段階の説明をします。まず、変圧器内には機器のトラブルを想定した以下のような保護装置が用意されています。
- 変流器(CT)
- 計器用変圧器(VT)
- 保護継電器
- 遮断器
変流器(CT)は電流異常を感知するためのもので、計器用変圧器(VT)は電圧異常を感知するためのものです。ちなみに、CTとVTの総称を指す言葉が、計器用変成器です。
保護継電器は、CTやVTの異常を認識し、遮断器を作動させるためのものです。そして遮断器で周囲との電気的なつながりを断ち、事故の影響を最小限に抑えます。
変流器(CT:Current Transformer)
送電線を通る電流はアンペアが大きいので、そのままの電流を計器で計るのは機器の耐久面と保守の安全面の両方から、なかなか難しいです。そのため、変流器(CT)によって電流を小さくし、その換算電流によって管理する仕組みをとっています。CTによって換算された小さい電流を計器で計り、その結果は保護継電器に伝わります。
CTの構造は以下のようになっています。
上図のように、一次側(大電流側)と二次側(計器側)の巻線の巻数の違いで変流の倍率を変えています。一般的には二次側の定格電流は5[A]となっています。
CTを扱う際に注意しなければいけないことは「一次側に電流が流れているのに二次側の回路を開放してはいけない」ということです。一次側は大きな電流が流れているため、二次側を開放すると、その電流の行き場がなくなり、二次側の誘起電圧が急激に上昇してしまいます。
計器用変圧器(VT:Voltage Transformer)
変流器の電圧版が計器用変圧器(VT)です。変流器の電圧版なので変圧器と名づけるほうが自然に思えますが、これでは送電の途中で変圧をおこなうための変圧器と混同してしまいます。こちらはあくまでも、電圧異常を検知する目的で、計器の使いやすい電圧まで落とすためのものです。
VTの構造は以下のとおりです。
上図をみてわかるように、構造も変流器のときと同様の仕組みです。VTでは、二次側の定格電圧を110[V]とするのが普通です。
また、VTでの注意点は「一次側に電圧の掛かった状態で二次側を短絡してはいけない」という点です。高電圧下で短絡すると、大きな循環電流が流れて大変危険です。
保護継電器については次項で紹介します。
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