この項では、並列に接続した変圧器の負荷分担について考えます。最初に、以下の回路をみてください。
- PA、PB:それぞれの変圧器の負荷分担 [kV・A]
- SA、SB:それぞれの変圧器の定格容量 [kV・A]
- %ZA、%ZB:それぞれの変圧器の%インピーダンス [%]
- P:外部負荷の容量 [kV・A]
この回路において、変圧器Aの負荷分担PA[kV・A]を問うような出題が頻出です。これは、それぞれの変圧器の%インピーダンス%ZA、%ZBの基準容量がそろっている場合とそうでない場合で、少し計算の工数が変わってきます。
【%ZAと%ZBの基準容量がそろっている場合】
変圧器Aの負荷分担PA[kV・A]を求めるための式は、次の(1)式のように表されます。ただし、注意点として、この式は%ZAと%ZBの基準容量が同じである場合のみ適用できます。基準容量が異なるパターンは後述します。
上記において、左辺がPAであれば、右辺の分子は%ZBになるので気をつけてください。
また、変圧器Bの負荷分担PB[kV・A]は、外部負荷の容量Pから変圧器Aの負荷分担PAを差し引いた値でも求められるので、次の(2)式または(2)’式のようになります。
【%ZAと%ZBの基準容量が異なっている場合】
%ZAと%ZBの基準容量が異なっている場合には、まずはこれらの基準を合わせる必要があります。なお、AをBの基準に合わせてもBをAの基準に合わせても、最終的な計算結果は必ず同じ値となるので、自由に選んで構いません。
ここでは、BをAの基準に合わせるパターンについて解説します。変圧器Aの基準容量をSA、変圧器Bの基準容量をSBとすると、変圧器Bの%ZBをSB基準からSA基準に変換した値%ZB‘は以下の(3)式で表すことができます。
これで基準容量がそろった%ZAと%ZB‘がわかりました。ここからは上記の【%ZAと%ZBの基準容量がそろっている場合】と同様の計算を行うことができます。つまり、変圧器Aの負荷分担PA[kV・A]は、次に示す(4)式のように計算することができます。
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