変圧器の並行運転

前項では変圧器の結線方式を説明しました。続いて本項では、この変圧器を2台(またはそれ以上)並行運転することを考えます。

負荷が大きすぎて1つの変圧器では間に合わないときは複数の変圧器を並行運転させますが、どのような2つの変圧器を並列につなげて使っても良いわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。その条件は以下のとおりです。

1.極性が一致していること

各変圧器の極性が異なっていると非常に大きな循環電流が流れ、巻線を焼損するためです。

2.一次と二次の定格電圧が等しい(変圧器の巻数比が等しい)こと

これが異なると、やはり循環電流が流れることになります。

3.抵抗とリアクタンスの比が等しいこと

巻線抵抗と漏れリアクタンスの比が異なると電流に位相差が生じるため、銅損が生まれます。

4.%インピーダンスが等しいこと

これが異なると、やはり電流に位相差が生じます。

以上の4つが単相変圧器の並行運転の条件ですが、三相変圧器ではさらに2つの条件を加えなければなりません。

5.電圧の角変位が等しいこと

角変位とは、一次側の線間電圧と二次側の線間電圧の位相差のことです。これが異なると循環電流が発生します。

6.相回転の方向が一致していること

以上の6条件を満たす結線の組み合わせは次のようなものがあります。

  • Δ-Δ結線とΔ-Δ結線
  • Y-Y結線とY-Y結線
  • Δ-Δ結線とY-Y結線
  • Δ-Y結線とΔ-Y結線
  • Y-Δ結線とY-Δ結線
  • Δ-Y結線とY-Δ結線

つまり、同種同士の組み合わせ、異種同士の組み合わせは許されます。例えばΔ-ΔとΔ-Yのように、同種と異種を組み合わせて並行運転をおこなうと事故につながります。

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