三相変圧器には、結線の仕方によって「Δ(デルタ)結線」と「Y(スター)結線」があります。また、単相変圧器を組み合わせれば、上の2種のほかに「V(ブイ)結線」も取れます。
実際には変圧器というのは一次側と二次側の2つの結線を組み合わせることで成り立ちます。この組み合わせには以下のようなパターンがあります。
- Δ-Δ結線
- Y-Y-Δ結線
- Y-Δ結線
- Δ-Y結線
- V-V結線
上記に挙げたそれぞれの結線方式のうち、前に示すのが一次側、あとに示すのが二次側であると考えてください。
Δ-Δ結線
Δ結線は第三高調波電流をΔ巻線内に循環させるので、通信障害が少ないというメリットがあります。第三高調波とは基本周波数の3倍の周波数を持つ高調波で、これが機器に悪影響を及ぼします。つまり、Δ結線は悪影響が少なくて済む、ということです。
また、Δ結線は中性点接地ができず、低電圧回路にのみ使用できます。主に33[kV]以下の配電用変圧器に用いられます。
単相変圧器3台を結線してΔ結線とした場合、うち1台が故障しても残りの2台でV-V結線になるので、運転を継続させることができます。
Y-Y-Δ結線
Y-Y結線は第三高調波の悪影響を避ける術がないので、あまり使われません。その代わりに使われるのが、Y-Y-Δ結線です。これにより、第三高調波電流は三次のΔ巻線内に流れるため、外部に悪影響を及ぼしにくくなります。
また、Y結線があるため中性点接地が可能です。Y結線は1相にかかる電圧が線間電圧の1/√3であるので、絶縁がしやすいです。
この結線方式は三次のΔ巻線に調相設備を設置して力率改善をおこなえるので、広く使われています。
Y-Δ結線・Δ-Y結線
一次もしくは二次のどちらかにΔ結線があるので、第三高調波の影響は少なくて済みます。また、他方にはY結線があるので、中性点設置も可能です。
Y-Δ結線では、一次のY結線を高電圧回路に、二次のΔ結線を低電圧回路に接続します。これにより電圧は下がるので、送電線の受電端において使われます。
Δ-Y結線の場合は逆に、一次、二次の順に低電圧回路、高電圧回路に接続します。よって、電圧が上がるので、送電線の送電端で使われます。
V-V結線
Δ-Δ結線の1相分を抜いたのがV-V結線です。
電圧が平衡に保てないのであまり使われませんが、Δ-Δ結線の故障時の応急対応として使われることがあります。
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