水車は大きく「衝動水車」と「反動水車」に分かれます。衝動水車とは、水の位置エネルギーを運動エネルギーに変換するような水車のことです。一方、反動水車は、水の位置エネルギーを圧力エネルギーに変換します。
また、衝動水車はさらに「ペルトン水車」と「クロスフロー水車」に分かれ、反動水車はさらに「フランシス水車」、「プロペラ水車」、「斜流水車」に分かれます。特に重要なものについては、以下の表で太字にしています。
ペルトン水車
衝動水車のひとつ、ペルトン水車はノズル、バケット、ランナ、デフレクタから成ります。
ノズルから出てきた水をバケットで受け、その衝撃でランナ(水車の主体で、羽根つきの円盤)が回転する仕組みです。
ニードル弁を前後に動かすことによって水の出やすさが変わるので、ニードル弁によって水量の調整ができます。デフレクタは噴射される水の向きを変える(バケットからそらす)役割を担っていて、負荷変動に応じてバケットが受ける水の量を変え、回転数の異常を防ぎます。
このペルトン水車は200[m]以上の落差があるときに用いられる水車です。200[m]という数字はともかく、落差が大きいときに使われるという特徴は重要です。
クロスフロー水車
もうひとつの衝動水車、クロスフロー水車はランナとガイドベーン(案内羽根)から成る簡単な作りの水車です。作りも簡素で安価なため、小発電用に使われることが多いです。ガイドベーン(案内羽根)を抜けた水がランナの内側を通り抜けることでランナが回転します。
クロスフロー水車は低~中程度の落差のときに使われ、流量変化が大きい場合でも使えるので、水路式の発電所に向いています。
以上が衝動水車の特徴でした。次は反動水車について解説をしていきます。
フランシス水車
フランシス水車は最も一般的な水車で、渦巻ケーシング、ランナ、ガイドベーン(案内羽根)、吸出し管で構成されます。
渦巻ケーシングとは、渦巻状の鉄管のことで、水圧鉄管からランナへと水を導くためのものです。このようにして水がランナを回転させ、その後水は吸出し管を通って放水されます。ガイドベーン(案内羽根)はその開閉により、負荷変動による流量の調節をおこないます。
フランシス水車は中~やや高程度の落差で使われます。
プロペラ水車
プロペラ水車はフランシス水車と同じ反動水車に属し、その構成も渦巻ケーシング、ランナ、ガイドベーン(案内羽根)、吸出し管と、フランシス水車と同様です。
違う点は、ランナがプロペラ羽根になっているという点です。このプロペラ羽根は固定式と可動式のタイプに分かれますが、可動式のときは「カプラン水車」と呼ばれます。プロペラ水車と呼ぶ場合、固定式を指すこともあれば、両方を含む場合もあります。
また、同じようなタイプに「チューブラ水車(円筒水車)」と呼ばれるものもあります。これはプロペラ水車と発電機が一体となっていて、それらを円筒の内部に封じて水路中に設置します。水路中に設置するということは渦巻ケーシングが必要ないということなので、渦巻ケーシングがないというのがチューブラ水車(円筒水車)の特徴です。
なお、チューブラ水車のプロペラ羽根には、固定式も可動式もあります。
プロペラ水車(カプラン水車・チューブラ水車含む)は落差が小さく、流量の大きい場合に向いている水車です。
斜流水車
斜流水車は、ランナに対して渦巻ケーシングが斜めに設置されています。そのため流水がランナの軸に対して斜めに流れるので、斜流水車と名付けられています。
適用落差は中程度(50~100[m])ですが、フランシス水車のほうが使い勝手が良いので、あまり多くは使われません。
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