「ベルヌーイの定理」という重要な定理があります。これは、簡単にいえば流水に関するエネルギー保存の法則のことで、以下の式で表されます。
- h:基準からの高さ [m]
- v:流速 [m/s]
- p:圧力 [N/m2]=[Pa]
- ρ:水の密度=1000 [kg/m3]
- g:重力加速度=9.8 [m/s2]
- const.:constantの略で「一定」という意味
これを文章で表現すると、非粘性流体(多くの場合、水)が管の中を流れているとき、そのうちどの点においても「位置エネルギー」と「運動エネルギー」と「圧力エネルギー」の和は一定である、ということになります。
最初の項はh[m]であり、位置を表すので「位置水頭」と呼ばれます。水頭というのは、水の持つエネルギーを水中の高さに置き換えたものです。
次の項はv2/2gで、こちらも単位は[m]になります。この項は速度のエネルギー(=運動エネルギー)を水頭に換算しているので、「速度水頭」と呼びます。
3つめの項はp/ρgで、やはり単位は[m]です。圧力に関する項なので、「圧力水頭」といいます。
まったく同じことを別の式にすると、以下のようになります。
これは、1の地点と2の地点のそれぞれでのエネルギーの和が等しいということを表していますが、現実には2地点の距離が長かったりすると、漏水や何かしらの理由によってエネルギーの損失が出る場合もあります。このような場合は、左辺と右辺の差を「損失水頭」といいます。
以上がベルヌーイの定理でしたが、もうひとつ、「連続の式」というものもあります。ベルヌーイの定理が流水に関するエネルギー保存の法則なら、連続の式は流水に関する質量保存の法則です。連続の式は以下の式で示されます。
- A:断面積[m2]
- v:流速[m/s]
断面積と流速を掛けると、その単位は[m3/s]となり、その地点での流量が求められます。水管中をスムーズに水が流れている場合、水管中のどの断面をとってもそこを通る水の量は一定、という意味の式となります。
水力学にとって、以上の「ベルヌーイの定理」と「連続の式」は基本かつ重要です。前者は流水のエネルギー保存の法則、後者は流水の質量保存の法則、ということをしっかりと覚えておいてください。
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