電験三種 R2年 法規 問7 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく引込線に関する記述である。

  1. 引込線とは、( ア )及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の( イ )に至るもの
  2. ( ア )とは架空電線路の支持物から( ウ )を経ずに需要場所の( エ )に至る架空電線
  3. ( オ )とは、引込線のうち一需要場所の引込線から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の( イ )に至る部分の電線

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •   ア     イ     ウ     エ    オ
  1. 架空引込線 引込口  他の需要場所 取付け点 連接引込線
  2. 連接引込線 引込口  他の需要場所 取付け点 架空引込線
  3. 架空引込線 引込口  他の支持物  取付け点 連接引込線
  4. 連接引込線 取付け点 他の需要場所 引込口  架空引込線
  5. 架空引込線 取付け点 他の支持物  引込口  連接引込線

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

この問題では、下図を見ながら解説を読んでください。

問題文と選択肢(ア)、(オ)を読むと、a)は「引込線」の、b)とc)は一方が「架空引込線」で他方が「連接引込線」の用語の説明となっていることがわかります。

b)の文章では、「架空電線路の支持物から需要場所に至る架空電線」というようなことが書いてあるので、需要場所に架空電線を引き込んでいるという意味から「架空引込線」の説明文となります。よって、( ア )は「架空引込線」です。上図の赤線部分に該当します。

c)の文章では、「一需要場所の引込線から分岐して他の需要場所に至る部分の電線」とあり、「分岐」をキーワードとして考えれば「連接引込線」の説明文であることがわかります。よって、( オ )には「連接引込線」が入ります。上図の緑線部分に該当します。

(イ)と(オ)の選択肢には「引込口」と「取付け点」があるので、まずはこれらの違いについて説明します。

架空引込線は送配電事業者の電線なので、これを需要場所側の電線と接続するポイントが必要です。この点のことを「取付け点」といいます。上図の赤点のところです。

取付け点の場所はまだ屋外ですが、実際には屋内まで引き込む必要があります。ちょうど屋内に入るポイントのことを「引込口」といいます。上図の青点緑点のところです。

ここで、a)の文章は引込線の説明文となっていますが、引込線は上図の赤線青線を合わせた部分で、支持物から引込口までとなります。よって、( イ )には「引込口」が入ります。

また、b)の文章は架空引込線の説明文であり、これは上図の赤線部分(支持物から取付け点まで)のことなので、( エ )には「取付け点」が入ります。

最後に残る( ウ )について、ここだけはちょっと判断が難しいかもしれません。というのも、ここに「他の需要場所」を入れても「他の支持物」を入れても、意味合いとしては問題がなさそうに思えるからです。

そのため、以下の解説を読んでピンとこない場合には、選択肢(1)と(3)の2択まで絞ればあとは運任せで答えても仕方ないと思います。

仮に( ウ )に「他の需要場所」が入るとすると、他の需要場所から目的の需要場所に至る電線は「連接引込線」となります。需要場所同士を結ぶ電線なので、これは架空電線(送配電事業者の電線)とは何の関係もありません。

しかし、b)の文末には「~に至る架空電線」とあるので、ここでは架空電線の一種の話をしています。連接引込線は架空電線とは何の関係もないのに、わざわざ「~を経ずに」と書いて連接引込線を除外しようとする意味がありません。

よって、( ウ )に「他の需要場所」を入れるのは不適切であると判断できます。

一方、( ウ )に「他の支持物」を入れた場合、支持物から他の支持物の間の電線は、ただの「架空電線」です。つまり、これは架空電線ではあるけれど架空引込線ではないという意味で、「~を経ずに」と明記することに意義があります。

よって、( ウ )には「他の支持物」を入れるのが適当です。

別解として、c)の文章では2つの需要場所を「一需要場所」と「他の需要場所」と呼び分けているのに対し、b)の文章では「需要場所」として書いていないので、( ウ )に「他の需要場所」を入れるのはおかしい…といった文章読解的なアプローチでもよいと思います。

以上から、正解は(3)となります。

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