電験三種 R2年 理論 問16 問題と解説

 問 題     

最大目盛150V、内部抵抗18kΩの直流電圧計V1と最大目盛300V、内部抵抗30kΩの直流電圧計V2の二つの直流電圧計がある。ただし、二つの直流電圧計は直動式指示電気計器を使用し、固有誤差はないものとする。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 二つの直流電圧計を直列に接続して使用したとき、測定できる電圧の最大の値[V]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 150
  2. 225
  3. 300
  4. 400
  5. 450

(b) 次に、直流電圧450Vの電圧を測定するために、二つの直流電圧計の指示を最大目盛にして測定したい。

そのためには、直流電圧計( ア )に、抵抗( イ )kΩを( ウ )に接続し、これに直流電圧計( エ )を直列に接続する。このように接続して測定することで、各直流電圧計の指示を最大目盛にして測定をすることができる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  • ア  イ    ウ     エ
  1. V1  90  直列  V2
  2. V1  90  並列  V2
  3. V2  90  並列  V1
  4. V1  18  並列  V2
  5. V2  18  直列  V1

 

 

 

 

 

正解 (a)-(4), (b)-(2)

 解 説    

(a)

直流電圧計V1は最大目盛150[V]、内部抵抗18[kΩ]なので、電圧計に通すことのできる最大電流I1maxは次のように計算できます。ちなみに、抵抗の単位が[kΩ]なので、電流の単位は[mA]としています。

同様に、直流電圧計V2は最大目盛300[V]、内部抵抗30[kΩ]なので、電圧計に通すことのできる最大電流I2maxは次のように計算できます。

今回はこれら2つを直列に並べるので、2つの電圧計を通る電流は等しいです。そのため、上で求めた2つの計算結果のうち小さいほうの8.33[mA]が、この直列回路の最大許容電流となります。

よって、測定できる電圧の最大値Vmaxは次のように計算することができます。

以上から、正解は(4)です。

(b)

(b)の問題文の最初に「直流電圧450Vの電圧を測定するために、二つの直流電圧計の指示を最大目盛にして測定したい」と書かれています。これは重要なヒントなので、見落とさないようにしてください。

(a)での結果も踏まえると、要するに、直流電圧計V1には最大電流の8.33[mA]を流して150[V]とし、直流電圧計V2には最大電流の10[mA]を流して300[V]とすることで、合計450Vの電圧を測定したい…という話です。

イメージ図を描くと、次のような感じです。

ただし、実際には上図のようにはなりません。(a)でも考えた通り、直列に並んだ抵抗を流れる電流は必ず一致しているはずなので、上図のように電流が8.33[mA]と10[mA]と異なっているのはおかしいです。

この矛盾を解消するために必要なのが、(b)の問題文の2文目以降に出てくる「抵抗」です。この抵抗をどちらかの電圧計に直列か並列かでくっつけると、上図のように2つの電圧計ともを最大に生かすことができるとのことです。

まずはこの抵抗を直列につなぐか並列につなぐかですが、上図の状態で抵抗を直列にくっつけても、3つの抵抗が直列に並ぶだけなので、電流の値に変化は起こりません。よって、直列ではNGなので、並列につなぐのが正しそうです。

続いて、この抵抗を電圧計V1につなげるか電圧計V2につなげるかですが、これは両パターン描いてみるとわかりやすいです。先に不正解のV2のパターンを描いてみます。

上図からわかるように、V1で8.33[mA]の電流が、分岐することによって増えているというのはおかしいので、これは誤りであることがわかります。

よって、おそらくV1のパターンが正解だと推測できるので、こちらの場合も図示します。

すると、上図のようにV1の8.33[mA]と分岐した抵抗を流れる電流を合わせることでV2の10[mA]になると考えれば、これは矛盾なく成立するので、正しいことがわかります。

以上から、(ア)には「V1」、(ウ)には「並列」、(エ)には「V2」が入ります。

最後に(イ)が残りましたが、この抵抗を流れる電流と端子間電圧から、次のように計算することができます。

よって、(イ)には「90」が入ります。

以上から、正解は(2)です。

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