電験三種 H29年 法規 問12 問題と解説

 問 題     

図に示す自家用電気設備で変圧器二次側(210V側)F点において三相短絡事故が発生した。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし、高圧配電線路の送り出し電圧は6.6kVとし、変圧器の仕様及び高圧配電線路のインピーダンスは表のとおりとする。なお、変圧器二次側からF点までのインピーダンス、その他記載の無いインピーダンスは無視するものとする。

(a) F点における三相短絡電流の値[kA]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 1.2
  2. 1.7
  3. 5.2
  4. 11.7
  5. 14.2

(b) 変圧器一次側(6.6kV側)に変流器CTが接続されており、CT二次電流が過電流継電器OCRに入力されているとする。三相短絡事故発生時のOCR入力電流の値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、CTの変流比は75A/5Aとする。

  1. 12
  2. 18
  3. 26
  4. 30
  5. 42

 

 

 

 

 

正解 (a)-(5), (b)-(4)

 解 説    

(a)

%インピーダンスを使った短絡電流の計算は頻出なので、ぜひ以下の式を公式として押さえておいてください。

  • %Z:%インピーダンス[%]
  • I:定格電流[A]
  • Is:短絡電流[A]

今回は短絡電流Isが問われているので上式を使えば答えは出ますが、そのためには%Zと定格電流Iの値が必要となります。

解き方の順序は自由ですが、ここでは、まずは%Zから求めていきます。

すでに問題文に百分率抵抗降下%Rと百分率リアクタンス降下%Xが与えられているものの、変圧器側と高圧配電線路側で基準容量が異なるので、先に高圧配電線路側の%R、%Xを変圧器側の基準容量に合わせます(基準容量をどちらに合わせるかは自由なので、反対でも構いません)。

以下、基準容量300kV・Aにおける変圧器百分率抵抗降下を%R1、変圧器百分率リアクタンス降下を%X1、高圧配電線路百分率抵抗降下を%R2、高圧配電線路百分率リアクタンス降下を%X2とします。

よって、問題の図全体の%Zは次のように計算できます(基準容量300kV・A)。

以上で%Zが求められたので、続いて定格電流Iを求めます。

問題文にはすでに定格電力(定格容量)と定格電圧が与えられていて、三相であることもわかっているので、以下のように式を解くことによって定格電流Iを求めることができます。

ただし注意点として、今回求めたい短絡電流は事故が起こったF点での話になります。そのため、ここで計算する定格電流もF点での定格電流になるので、定格電圧は210Vとなります(6.6kVではありません)。

これで%ZとIがわかったので、最初に示した短絡電流Isの式に代入すれば、求める答えが得られます。

(b)

まず、F点での短絡電流は(a)で計算した通り、14.2kAです。ここから変流器CTへ電流が流れる際には変圧器を通るため、電圧が210Vから6.6kVへと変化します。変圧器の前後で電力は変わらないため、電圧が上がった分、電流が下がっていると考えてください。

さらに、CTから過電流継電器OCRへと電流が流れる際には、問題文よりCTに入るのが75Aだとしたら、CTを出てOCRに入るのが5Aということです。

よって、F点で14.2kAだった短絡電流は、変圧器、CTを通ってOCRに着く頃には、

となります。

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