電験三種 H29年 法規 問5 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「発電用風力設備に関する技術基準を定める省令」に基づく風車の安全な状態の確保に関する記述である。

  1. 風車(発電用風力設備が一般用電気工作物である場合を除く。以下aにおいて同じ。)は、次の場合に安全かつ自動的に停止するような措置を講じなければならない
    1. ( ア )が著しく上昇した場合
    2. 風車の( イ )の機能が著しく低下した場合
  2. 最高部の( ウ )からの高さが20mを超える発電用風力設備には、( エ )から風車を保護するような措置を講じなければならない。ただし、周囲の状況によって( エ )が風車を損傷するおそれがない場合においては、この限りでない。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)     (イ)     (ウ)    (エ)

  1. 回転速度  制御装置  ロータ最低部  雷撃
  2. 発電電圧  圧油装置  地表      雷撃
  3. 発電電圧  制御装置  ロータ最低部  強風
  4. 回転速度  制御装置  地表      雷撃
  5. 回転速度  圧油装置  ロータ最低部  強風

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

( ア )に関して、風力発電では、風が強すぎるとブレード(羽根)に負荷が掛かって折れたり、回転数が大きすぎると機器の摩耗・劣化が早くなったりします。

そのため、安全性や安定運転を考慮すると、回転速度を制御することが大事なので、( ア )には入るのは「回転速度」となります。

( イ )では「制御装置」と「圧油装置」が候補となりますが、制御装置というのは広い意味を持つ言葉で、制御装置の中に圧油装置も含まれます。

圧油装置の機能が著しく低下するのは大問題なので、このようなときには風車を安全かつ自動的に停止しなければなりませんが、それはほかの制御装置にも言えることなので、( イ )にはより広い意味を有する「制御装置」を入れるのが適切です。

ちなみに「風車の制御装置の機能が著しく低下した場合」とは、次のような場合を指します。

  • 風車の制御用圧油装置の油圧が著しく低下した場合
  • 圧縮空気装置の空気圧が著しく低下した場合
  • 電動式制御装置の電源電圧が著しく低下した場合
  • その他制御装置の機能が著しく低下した場合

bの文章の( ウ )、( エ )に関しては、( エ )から考えたほうがわかりやすいと思います。

( エ )には「雷撃」または「強風」が入りますが、強風の場合はaの1.の文章にあるように、回転速度が高くなりすぎることが問題となります。よって、aの1.ですでにこの話は済んでいるので、( エ )に「強風」を入れるのは適切ではありません。

また、2つ目の( エ )の箇所は、「周囲の状況によって( エ )が風車を損傷するおそれがない」とありますが、周囲の状況によって雷が落ちない場合(周りの高い建物に避雷針がある、など)はあっても、周囲の状況によって風が弱いとなると、風車として成り立ちません。

よって、やはり( エ )には「雷撃」を入れるのが妥当だと判断できます。

残る( ウ )について、選択肢にある「ロータ」とは、ブレードとその中心軸を合わせた部分のことで、風車の回転するところです。つまり、「ロータ最低部」は、ブレードが最も下がったときの先端の位置となります。

雷撃を受けやすいかどうかは、ロータ最低部からの高さで決まるものではなく、地面から高さが大事なので、( ウ )には「地表」が入ります。

ちなみに、bの文章の「最高部」に関して、風車で最も高いのはブレードが真上に伸びたときなので、これは「ロータ最高部」ということになります。

よって、( ウ )に「ロータ最低部」を入れると、「最高部の、ロータ最低部からの高さ」となりますが、これをいうなら「ロータ最高部の、最低部からの高さ」でないと文章が不自然です。

言葉遊びのような感じもありますが、このように文章がおかしいことから選択肢を除外できる問題もよくあるので、ひとつのテクニックとして使えるとよいかもしれません。

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