電験三種 H29年 法規 問4 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気設備技術基準」におけるガス絶縁機器等の危険の防止に関する記述である。

発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施設するガス絶縁機器(充電部分が圧縮絶縁ガスにより絶縁された電気機械器具をいう。以下同じ。)及び開閉器又は遮断器に使用する圧縮空気装置は、次により施設しなければならない。

  1. 圧力を受ける部分の材料及び構造は、最高使用圧力に対して十分に耐え、かつ、( ア )であること。
  2. 圧縮空気装置の空気タンクは、耐食性を有すること。
  3. 圧力が上昇する場合において、当該圧力が最高使用圧力に到達する以前に当該圧力を( イ )させる機能を有すること。
  4. 圧縮空気装置は、主空気タンクの圧力が低下した場合に圧力を自動的に回復させる機能を有すること。
  5. 異常な圧力を早期に( ウ )できる機能を有すること。
  6. ガス絶縁機器に使用する絶縁ガスは、可燃性、腐食性及び( エ )性のないものであること。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)     (イ)  (ウ)  (エ)

  1. 安全なもの   低下  検知  有毒
  2. 安全なもの   低下  減圧  爆発
  3. 耐火性のもの  抑制  検知  爆発
  4. 耐火性のもの  抑制  減圧  爆発
  5. 耐火性のもの  低下  検知  有毒

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

( ア )は選択肢を見ると、「安全なもの」か「耐火性のもの」が入ります。

fの文章にもありますが、絶縁ガスそのものは不燃性ガスであるため、このガスの圧力を受ける部分が耐火性であるかどうかはあまり問題にはなりません。よって、やや曖昧な表現ながら、ここには「安全なもの」を入れるのが適当です。

ちなみに、ここでいう「安全」とは、「ガス漏れがないこと」を指しています(「電気設備技術基準の解釈」にそのことが書かれています)。

つまり、圧力を受ける構造体が最高使用圧力に耐えきれずに破損するのはもちろん駄目ですが、そうでなくても、接続部がずれてガスが漏えいするとか、微妙なひび割れが起きて隙間からガスが漏えいするとか、そのようなものも駄目だということを規定しています。

( イ )の「低下」と「抑制」は、似ているようで異なる言葉です。「低下」は文字通り下がることですが、「抑制」はもう少し広い意味となります。

圧力が上がっている現状があるとして、その上昇率をやわらげるだけでも「抑制」といえますし(この場合、上がり続けていることに変わりはない)、上昇をぴたっと止めて維持するのも「抑制」であり、さらには上昇から下降に転じることも「抑制」といえます。

この場合は、上昇している圧力を最高使用圧力まで届かせたくないのはもちろんのこと、その近くで維持させないで早く平常な水準にまで下げたいので、はっきりと「低下」と明記するほうが望ましいです。よって、( イ )には「低下」が入ります。

( ウ )は「検知」を入れても「減圧」を入れても意味が通り、どちらも必要なことのように思えます。しかし、ここに「減圧」を入れてしまうと( イ )で扱ったcの文章とほとんど同じになってしまい重複するので、ここでは「検知」を入れるのが適切です。

( エ )について、可燃性ガスが急速に激しく燃焼することをガス爆発といいます。よって、ここに「爆発」を入れると、( エ )の手前にある「可燃性」と重なってしまいます。

一方、「有毒」を入れれば意味が重ならない上、万が一、機器から絶縁ガスが漏えいした場合を考えるとガスの毒性の有無は重要となってくるため、( エ )は「有毒」が正しいです。

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