問 題
次の文章は、発電所に用いられる同期発電機である水車発電機とタービン発電機の特徴に関する記述である。
水力発電所に用いられる水車発電機は直結する水車の特性からその回転速度はおおむね100min-1~1200min-1とタービン発電機に比べ低速である。
したがって、商用周波数50/60Hzを発生させるために磁極を多くとれる( ア )を用い、大形機では据付面積が小さく落差を有効に使用できる立軸形が用いられることが多い。タービン発電機に比べ、直径が大きく軸方向の長さが短い。
一方、火力発電所に用いられるタービン発電機は原動機である蒸気タービンと直結し、回転速度が水車に比べ非常に高速なため2極機又は4極機が用いられ、大きな遠心力に耐えるように、直径が小さく軸方向に長い横軸形の( イ )を採用し、その回転子の軸及び鉄心は一体の鍛造軸材で作られる。
水車発電機は、電力系統の安定度の面及び負荷遮断時の速度変動を抑える点から発電機の経済設計以上のはずみ車効果を要求される場合が多く、回転子直径がより大きくなり、鉄心の鉄量が多い、いわゆる鉄機械となる。
一方、タービン発電機は、上述の構造のため界磁巻線を施す場所が制約され、大きな出力を得るためには電機子巻線の導体数が多い、すなわち銅量が多い、いわゆる銅機械となる。
鉄機械は、体格が大きく重量が重く高価になるが、短絡比が( ウ )、同期インピーダンスが( エ )なり、電圧変動率が小さく、安定度が高く、( オ )が大きくなるといった利点をもつ。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
- 突極機 円筒機 大きく 小さく 線路充電容量
- 円筒機 突極機 大きく 小さく 線路充電容量
- 突極機 円筒機 大きく 小さく 部分負荷効率
- 円筒機 突極機 小さく 大きく 部分負荷効率
- 突極機 円筒機 小さく 大きく 部分負荷効率
解 説
( ア )と( イ )は水車とタービンの回転子の違いについての出題です。
回転子の構造について、タービン発電機は回転数が多いため、細長い横軸の円筒形をしています。回転子の直径を大きくする(円筒形の太さを太くする)と高速回転に機械強度が耐えられなくなるので、直径ではなく長さを長くします。
一方、水車発電機はそこまで回転速度が高くないので、回転子の直径も大きくでき、立軸、横軸のいずれにも対応できます。水車発電機で使われるこのようなタイプの回転子を突極形といいます。
よって、( ア )には「突極機」が、( イ )には「円筒機」が入ります。
( ウ )と( エ )に関して、短絡比と同期インピーダンスは反比例します。実際、選択肢をみても(1)~(5)の全て、( ウ )と( エ )の文言は反対になっています。
知識として押さえておきたいことは、タービン発電機の短絡比は低く(0.5~0.7くらい)、そのため安定度はやや欠けるということです。一方の水車発電機は短絡比が1.0~1.5と安定しています。
問題文を読むと、銅機械=タービン発電機、鉄機械=水車発電機だとわかるので、( ウ )には「大きく」が、( エ )には「小さく」が入ります。
また、鉄機械(水車発電機)は同期インピーダンスが小さいので、無負荷時に電線に大きな進み電流が流れても許容できる(電圧の上昇幅が小さくて済む)ということになります。
この許容できる進み電流の大小を表すものが線路充電容量なので、同期インピーダンスが小さければ線路充電容量は大きくなります。よって、( オ )には「線路充電容量」が入ります。
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