問 題
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、電源供給用低圧幹線に電動機が接続される場合の過電流遮断器の定格電流及び電動機の過負荷と短絡電流の保護協調に関する記述である。
- 低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流は、次のいずれかによることができる。
- その幹線に接続される電動機の定格電流の合計の( ア )倍に、他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下であること。
- 上記aの値が当該低圧幹線の許容電流を( イ )倍した値を超える場合は、その許容電流を( イ )倍した値以下であること。
- 当該低圧幹線の許容電流が100Aを超える場合であって、上記a又はbの規定による値が過電流遮断器の標準定格に該当しないときは、上記a又はbの規定による値の( ウ )の標準定格であること。
- 図は、電動機を電動機保護用遮断器(MCCB)と熱動継電器(サーマルリレー)付電磁開閉器を組み合わせて保護する場合の保護協調曲線の一例である。図中( エ )は電源配線の電線許容電流時間特性を表す曲線である。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
- 3 2.5 直近上位 ③
- 3 2 115%以下 ②
- 2.5 1.5 直近上位 ①
- 3 2.5 115%以下 ③
- 2 2 直近上位 ②
解 説
問題文に該当するのは、「電気設備技術基準の解釈」第148条(低圧幹線の施設)1項の五です。条文は以下の通りとなります(抜粋)。
「当該低圧幹線を保護する過電流遮断器」は、その定格電流が、当該低圧幹線の許容電流以下のものであること。ただし、低圧幹線に電動機等が接続される場合の定格電流は、次のいずれかによることができる。
- 電動機等の定格電流の合計の3倍に、他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下であること。
- イの規定による値が当該低圧幹線の許容電流を2.5倍した値を超える場合は、その許容電流を2.5倍した値以下であること。
- 当該低圧幹線の許容電流が100Aを超える場合であって、イ又はロの規定による値が過電流遮断器の標準定格に該当しないときは、イ又はロの規定による値の直近上位の標準定格であること。
よって、この条文を覚えていれば( ア )~( ウ )が埋まるので正解が(1)と決まりますが、そうでない場合は( ア )と( イ )はお手上げなので、( ウ )について考えるとよいと思います。
( ウ )を含む文章の流れは、a又はbの規定による値が標準定格に該当すればそれでいいけれど、そうじゃなければ代わりとなる値を使いましょう。という話です。
( ウ )は「直近上位」か「115%以下」の2択ですが、ここで「直近上位」と入れれば、ある値が標準定格ではないのでそれよりは少しだけ上になるけれど、過剰ではない程度の値に収めることができます。
一方、「115%以下」を入れてしまうと、ある値よりも2つ上の定格標準を使える場合も出てきて、その2つ上のほうを選んでしまうと過剰設計となり、過電流遮断器がなかなか作動しなくなってしまいます。また、逆に115%以下の範囲に標準定格が1つもない場合は、どれも採用できなくなってしまい困ります。
このように考えると、( ウ )には「直近上位」を入れたほうが都合が良いと判断できます。
また、( エ )に関して、図の①、②、③に対応するのは以下の通りです。
- ① 過負荷継電器の動作特性
- ② MCCBの動作特性
- ③ 電源配線の電線許容電流時間特性
以上から(3)が正しいのですが、①~③が正確に見分けられていなくても、すでに図に記入されている電動機の許容電流時間特性と( エ )に当たる電源配線の電線許容電流時間特性とを比べたとき、電線のほうが図の右側になければおかしいはずです。ある大きさの電流が、電線は通れないけど電動機では受けられるというのは道理に合わないからです。
よって、( エ )には電動機の許容電流時間特性よりも右側にある③が入ると考えることができます。
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