電験三種 H26年 機械 問5 問題と解説

 問 題     

次の文章は、三相同期発電機の電機子反作用に関する記述である。

三相同期発電機の電機子巻線に電流が流れると、この電流によって電機子反作用が生じる。図1は、力率1の電機子電流が流れている場合の電機子反作用を説明する図である。電機子電流による磁束は、図の各磁極の( ア )側では界磁電流による磁束を減少させ、反対側では増加させる交差磁化作用を起こす。

次に遅れ力率0の電機子電流が流れた場合を考える。このときの磁極と電機子電流との関係は、図2( イ )となる。このとき、N及びS両磁極の磁束はいずれも( ウ )する。進み力率0の電機子電流のときには逆になる。

電機子反作用によるこれらの作用は、等価回路において電機子回路に直列に接続された( エ )として扱うことができる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  (ア) (イ)  (ウ)    (エ)

  1. 右  A  減少  リアクタンス
  2. 右  B  増加  リアクタンス
  3. 左  A  減少  抵抗
  4. 左  B  減少  リアクタンス
  5. 左  A  増加  抵抗

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

図1に回転磁束の向きを書き足すと、以下のように描くことができます。

図中の◯の中に×があるマークは、電流の方向が画面手前側から奥側へ向かっていることを表しています。◯の中に●があるマークは、反対に、電流の方向が画面奥側から手前側へ向かっていることを表しています。赤色の矢印は電機子電流による回転磁束の向きを表しています。青色の矢印は界磁電流による磁束の向きを表しています。

上図の場合、磁極Nの左側を見ると、界磁電流による磁束の向き(青矢印、画面上向き)と電機子電流による磁束の向き(赤矢印、画面上向き)が一緒なので、電機子反作用により磁束が増加することになります。しかし、磁極Nの右側を見ると、2つの磁束(2つの矢印)の向きが反対なので、磁束が減少することになります。

同様に考えると、磁極Sの左側は磁束が増加し、磁極Sの右側は磁束が減少します。このように、各磁極の片側では電機子電流による磁束が界磁電流による磁束を増加させ、反対側では減少させるような電機子反作用を、特に交差磁化作用といいます。よって、( ア )には「右」が入ります。

また、三相同期発電機に遅れ力率0の電機子電流が流れている場合の電機子反作用を表すのは図2Aになります。

上図の場合、先ほどと同じように考えたときに、磁極Sの右側でも左側でも、磁極Nの右側でも左側でも、どこを取っても界磁電流による磁束の向き(青矢印)と電機子電流による磁束の向き(赤矢印)が反対向きになります。

よって、遅れ力率0の電機子電流による磁束は、常に界磁電流による磁束を減少させます。このような電機子反作用を、減磁作用といいます。以上から、( イ )には「A」が、( ウ )には「減少」が入ることがわかります。

図2Aとは反対に、図2Bは進み力率0の電機子電流が流れている場合の電機子反作用を表す図となります。

上図の場合は、遅れ力率0のときとは全く反対で、いずれの場合も2つの磁束の向き(赤と青の矢印)が一致します。つまり、進み力率0の電機子電流による磁束は、常に界磁電流による磁束を増加させ、これを増磁作用といいます。

残る( エ )には「抵抗」か「リアクタンス」が入りますが、進み力率や遅れ力率という話をしていることからも明らかなように、電機子反作用によるこれらの作用は「リアクタンス」として扱うことができます。

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